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直流電気機関車: ED16-3

 

 

実車プロフィール

  ED16は、昭和6年(1931)国鉄以前の鉄道省の時代に国産の省形中形標準機として18両が製造される。 当初は中央線の笹子トンネルや上越線の清水トンネルなどの山岳電化線で活躍する。

 戦後は青梅線や阪和線に配置され使用されていたが、昭和40年(1965)頃に全18機が立川機関区に集結し、奥多摩と京浜工業地帯とを結ぶ石灰石輸送の専用列車に運用される。 昭和58年(1983)のさよなら運転で幕を閉じる。

模型プロフィール

メーカー : KATO
商品名 : ED16
品番 : 3068
車両番号 : ED16 3
発売日 : 2011年9月27日
入手日 : 2011年10月9日 新品購入
定価  : \6,825.-

分解調査

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● KATOでは初のD形直流電気機関車となるED16。
● サスペンション機構を採用
● フライホイール搭載
● ヘッドライト点灯
● カプラーは、ナックルカプラーに取り換え
● R140曲線走行可能

連結面間距離(ナックル)
108.5 mm
車体重量
71.7gf
駆動系ギヤ比
i = 19
動輪直径
D = φ8.3 mm

 

●車体の側面と車体を外した状態、および車輪の配置状態を示す下側からの写真を下に示す。

● 分解状態を下に示す。

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● 駆動系の機構

 このモデルの特徴は、新サスペンション機構の採用である。 台車のローリング支持を兼ねたフレームの底部両端に設けられた燐青銅の板ばねで、台車の集電子と接触させている。 ばねは柔らかく、車両のローリングにも良く対応している。 KATOの電気機関車の動力機構としては、第4期の新サスペンション型のモデルに該当する。

 また、ウォームはモータ軸の両端に固定されており、さらにその外側にフライホイールも形成されている。 厚さが薄いので効果はあまり無さそうである。 ウォームギヤ専用の軸受けや、中間のジョイントを設けていないことなどにより、軸方向の短縮や部品点数の低減をはかっている。

 動力系は、歯数 Z = 19 のウォームギヤは2段歯車になっており、Z = 17 の小さい歯車はアイドラギヤを介して、Z = 17 の動輪軸の歯車に連結している。 従って減速ギヤ比は、i = 19×17/17 = 19 となる。

 また、左右に分割されているダイキャストフレームの組立て方法は、前後と上下の樹脂製枠ではめ込んでいるだけで、非常にシンプルであるが、確実に固定されている。 照明基板の取り付け方法も、新しい方式が採用されている。

動力特性

 今回の測定は、有線通信方式による動力特性測定システムによって測定した。 測定実施日: 2016年2月22日

 測定時の車両重量: 71.7グラム  ・・・・・・・・・・・測定のために車体を取り外したが、その分の重量7.8グラム分を重りで補完し、製品重量と合わせた。
 重り車両の重量: 106.2グラム (走行抵抗は1.0グラム)

 フライホイールにペイントした回転数検知用の白黒マーキングは、今回初めて4パルス仕様にした。

● 速度特性:

 平坦路の単機走行時における速度と電圧などの速度特性を次に示す。

 消費電流が40mA 以下と小さな値となっており、最近のモデルの仕様となっている。

● 牽引力特性

 重り車両を牽引した状態での坂道路の登りと下りの走行状態より、牽引力を測定した。 駆動系の摩擦抵抗は2グラム程度と読み取れるので、効果的な伝達機構を構成しているようである。 駆動系は、12グラムを超えるあたりかから車輪はスリップをはじめており、駆動系のスリップ限界が20グラム弱である。制動系も同等の様子を示している。

 導電系の電圧降下は激しく変化しており、牽引力に対しては特徴的な傘型パターンを示している。 今回、走行経過によって、接触部の汚れによる電圧降下の影響をみるため、テスト順番を変えてみた。 5.5volt、7volt、そして4volt の順番に測定したが、テストの順番に従って電圧降下量が増加していることが認められる。 汚れの発生は矢張り速いようである。 この電圧降下の増大はまたバラツキも大きくなり、牽引力の小さい領域では速度のバラツキが大きくなっているようである。

 スリップ率の測定方法については、いろいろ改善を実施してきたつもりであったが、今回も新たな現象に出くわした。上中央のグラフを参照。 なぜだか、測定後半になってから、データが明らかにドリフトしている部分が認められる。 これは、モデルではなくて、測定方法に問題がるのではないかと推定しているが、残念ながらまだ、その原因をつかんではいない。 良くわからにのである。

( 2016/2/23 記述追加 )    

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● 出力と効率

 上記の牽引力測定データを基にして、右に示す様に、出力と効率のグラフを追加する。 2016/11/27

 


  ここに示す動力特性の測定は、安定化電源を使用した自動測定システムにて実施する。 測定実施日: 2014/5/29

 いつもの様に、暖気運転後に速度特性の測定を開始したが、二つの速度センサー(登り坂用と下り坂用)のデータに差があることに気が付いた。 原因は、この車両の先頭部分にデッキがあり、そこに細い手すりを速度センサーの光軸が横切る時、その反応の仕方に差が出ているためであった。 そこで、紙を使って下の写真のようにカバーを取り付けて走行させてみると、二つの速度センサーのデータはぴったりと一致した。 要注意点である。

 

速度特性:

 動力車の速度特性として、速度・電圧特性と電流・電圧特性を右に示す。

 速度・電圧、および電流・電圧のグラフを見ると、6 Volt あたりで勾配が少し変化しているようであるが、速度特性としてはあえて直線近似して数式を表示している。

 スケールスピード 10Km/h 近くの極めつけの微低速でも、非常にスムースに走行していたのには驚きである。 KATOの技術力の為せる技か!

 電流も小さく、ばらつきも小さいようである。

牽引力特性:

 動力車の牽引力特性として、牽引力・車速特性と牽引力・電圧特性を右に示す。

 牽引側の粘着牽引力は、17グラム程度であり、速度による差は無いようである。 また、制動側のパターンは垂直的な特性であり、ウォームギヤの噛合い方向が変化する遷移点は、マイナス2 グラム近辺のようである。

 速度特性にはばらつきが無いのに、この牽引力特性では、何故かバラツイた特性となっている。 構造的な要因でもあるのだろうか。