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小型蒸気機関車: C11-174 号機

 

実車プロフィール

 動輪3軸に先輪1軸・従輪2軸(1C2)という軸配置を持つC11は、わが国のタンク式蒸気機関車を代表する車両で、昭和7〜22年(1932〜1947)に381両が製造されました。
国鉄時代は小形で客貨両用に使用できるために重用され、全国で活躍しました。 現在でもJR北海道、JR東日本、真岡鉄道、大井川鉄道などで運転が行われており、人気を博しています。

模型プロフィール

メーカー : KATO
品名 : C11
品番 : 2021
車両番号: C11-174
発売日 : 2017年4月14日
入手日 : 2017年4月15日 新品購入
定価 : \11,000.-

諸元と分解調査

   

連結面間距離
89 mm
動輪直径 D = φ10.1 mm
車体全重量 47.7 グラムf ギャ比 i = 34.27

● このモデルは、KATOの新シリーズのSLで、フライホイール付コアレスモーターを搭載しており、消費電流がきわめて少ない上に、滑らかな低速走行を実現している。

● スケールは1/150を厳密に再現したとの事。

● ナックルカプラー装着。 前後のライトは進行方向が点灯する。

● 先に発売されたC12と同様に、先台車と従台車からも集電しているため、集電性が良好との特徴を有している。

● 側面とボディーを外した状態をを下に示す。 モータは細いコアレスモータを採用しているため、ボイラーの中にすっぽりと収まっています。 このため、運転室の広さも確保されている。

● 車輪類を取り外した状態を下に示す。 シャシーの飾りがだんだん細かくなってきている。 また、第2動輪軸を抑えるバネも見える。 一応はサスペンションと言えるのだろうか。 車重を支えるだけのバネ力はないので、車輪の飛び上がり防止(脱線対策?)か、集電用バネかも知れない。

● 動輪を取り外した後、左右のフレームを分解すると、駆動機構の歯車などが分解出来る。 この左右のフレームはガッチリと組み合わされており、隙間にマイナスドライバを差し込んで、慎重に分解した。

● その分解状態を上に示す。 歯車の組合せ状態が分かるように左のフレームの裏側から撮影している。 ロッド類は分解時にまたもやバラバラになってしまった。 再組付け時に組み付け位置が分からず四苦八苦してしまったのだ。

● 車両を分解した状態を下に示す。 よくよく観察するとネジが一本も見当たらないのには驚きですね。

● フレームの側面も凄い! 下左の写真は左フレームの表側、右の写真が裏側示す。 最近のKATOのSLは、この見え難い部分まで手が入っています。 裏側には歯車用の軸心が形成されています。

● 右フレームの表と裏を下に示す。 左フレームの内側には組合せ用の2本のピンが形成されており、右側フレームには樹脂製ブッシュがフレームにはめこまれており、このブッシュと結合することにより、左右のフレームの結合と絶縁を同時に実施している。 ネジ固定ではなくて、この篏合のみで強固に固定されているのは技術力のなせる業だろうか。

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● フレームの内側からみると、第1動輪軸には板ばねがセットされており、動輪の軸を抑えています。 そのたわみは、第2動輪ほどではない。 このことより、第3動輪とこの第1動輪で車体の重量を支えていると考える事が出来る。 このため、このバネは集電用と判断するのだ。

● 次にモータ類を観察する。 モーターは見慣れたΦ7.0で20mm の長さのコアレスモータであり、共通使用品と判断する。 赤色の電極にプラスを付与すると車両は前進するので、右側フレームに接続されている。 ウォームは外径がφ5.25mm の m = 0.3 2条ネジである。 ウォームの先にΦ7.0mm のフライホイールがφ1.5mm のピンを介して結合されている。 軸受けはフライホイールの両側にあるので、ウォームは片持ち軸支となる。 さらにウォームの端面にはφ3.0mm の穴が掘られており、その先端に六角穴が形成されていた。 この六角穴がモータの先のジョイントと結合して、回転を伝達している。

● 駆動機構を構成する歯車は、ウォームと噛合うホイールは歯数26枚( m = 0.3 )で、歯数11枚の小ギヤ( m = 0.25 )と一体に形成されている。 そして、この小ギヤは、歯数21枚と歯数34枚のアイドラギヤを介して、歯数29枚の動輪ギヤに噛合っている。 従って、動輪を一回転させるには、ウォーム軸を 34.27 回転さえる必要がある。 即ちこれがこの駆動機構の減速ギヤ比である。

● ギヤ駆動はこの第3動輪だけであり、、第1動輪と第2動輪はリンク駆動です。 このため、動輪セットをシャシーに再組付けする時は、動輪の位相を気にせずに組み付けられますので楽ですね。 また、サイドロッドが分割式ですから、各動輪が軸方向に自由に移動出来ます。 シャシーに組み込んでも動輪は上下左右にかなり動く事が出来ます。

● 次に、このモデルの特徴でもある集電機能付きの先台車と従台車を見てみましょう。 下左の写真が上からみた状態で、右の写真が下から見た状態の写真です。

  

● 従台車は、KATOの得意技術であるピポット式集電兼用の軸受けでなく、バネ作用のある導線を使用している。 先台車は構造上ピポット式が採用できないので導線方式はやむを得ないとしても、なぜか従台車もこちらの構造を採用している。 台車連結部の導線と兼用しているためなのだろうか。

● KATO Nゲージ生誕50周年記念誌には、C12通電スポーク車輪の開発について説明されていた。 これと同じ構造を従台車にも採用されているのである。 今回、この記事を読み直してみて、車輪表面にショットブラストを施していることに注目した。 現物を見た当初は、コスト低減のために鋳物か鍛造品で製作しのだと思っていたが、切削加工後、プレス処理、メッキ処理を実施した後で、質感を向上させるために、わざわざブラスト処理を実施していたのである。

● 前後のライト用の基板は運転席の天井に取り付けられている。 その基板の裏表を右に示す。 560Ωのチップ抵抗を通し、側面発光のチップLEDが2個、逆方向に並列に取り付けられえているので、前進と後進の場合には、どちらかのLEDが発光する仕組みである。 発光した光は、アクリルの導光板を通して前後のライト部分に導いている。

 

関連報告

 ◆ 測定データのN増し その2 (2020/10/17)
新しい測定装置について、今までの測定データと比較しながらどこまで改善されたのかテスト測定を実施した。
 ◆ KATO製 C11-174号機の動力特性の解析  (2018/8/7)
「新解析法の修正」(2018/8/5)にて報告した方法で解析した結果を報告する。
 ◆ KATO製 C11-174号機の動力特性  (2018/6/17)
動力特性の測定結果を報告する。

動力特性

 新しい測定装置で測定する。

   測定実施: 2020/10/14    重り車両:  11.4(0.1)+65.3(0.7) グラム  ()内は走行抵抗です。

 測定は上記の状態で測定するが、速度特性測定時はビームカッター車のみを連結する。 また、事前のメンテナンスは実施せず暖機運転のみ実施する。

● 速度特性

   

● 牽引力特性

  

 前回の測定結果をほとんど同じと言えるが、牽引特性のパターンが少し違ってきているは何故だろう? また、今回は前照灯を装着した状態で測定しているので、電流値は大きく出ている。