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鉄道模型 動力車の調査   KATO製 C11-174号機の動力特性

■ いきさつ

 動力特性の調査として、KATO製 C11-174号機の動力特性について、新しい測定方法で測定したので報告する。

 

■ C11-174号機の概要

 このC11-174号機は、2017年4月に発売されたモデルで、ボイラ内にモータを納めた次世代型動力ユニットとしてリニューアルされたもので、コアレスモータの採用や、1/150スケールでのモデル化が実施されている。 C12モデルで採用された通電式のスポーク車輪を先台車と従台車に取り入れて、通電性が確保されている。

  

 

● なお分解調査の結果については「 マイコレクション > 蒸気機関車リスト > C11-174 号機 」 を参照してください。

 

■ 空転回転特性の測定

 測定は、先回と同様に、車体を分解して実施する。 測定状態を右と下の写真に示す。

 今回も、モータ単体での測定値の比較のためにモータだけの状態にして電圧と電流の特性を測定した。 フライホイール部を取り付けていないので、回転数の測定は実施していない。 データは「モータのみ」としてプロットしている。

 そして、フライホイールを組付けた「ウォーム軸」、 減速ギヤ類を取り付けた「ギヤ付き」、 動輪とロッド類を取り付けた「ロッド付き」の状態で測定を実施し、グラフに表示した。

● 測定結果を下に示す。 

 部品を取り付けて行くに従って電流値は増加しているが、ロッド付の場合は 3,000 rpm 辺りから勾配が変化している。 モータ単体ではその現象が現れていないのでウォームギヤ類の影響のようである。

 

■ 速度特性の測定

 動力車の車体にモータ回転数を測定するセンサと、モータ電圧を取り出す検出端子を取り付けて、下記のような測定車列を構成した。 先回の失敗経験を活かし、最も重たい重り車両を牽引させ、この車両にリード線を固定させて測定台の上を走行させた。 その効果はバッチリで、測定中の横転や脱線などのトラブルはゼロであった。 動力車と重り車両の間は、リード線を山なりにして接続している。 これは曲線路通過時の車両間の干渉を避けるためである。

 ゴテゴテにされた機関車の様子を下左の写真に、また、走行中の様子を下右の写真に示す。

● 測定結果を下に示す。

 電流値が途中で小さな波を打っているのが不思議である。 なんどか電圧値を往復させて測定したのだが、バラツキによる現象ではないと判断している。 初めて遭遇する現象である。

   さらに、電圧降下量を見て目を疑った! 素晴らしい! 電圧降下量がこんなに小さいデータは始めてある。 

 先台車と従台車に通電式のスポーク車輪を採用して通電性を改善した効果なのだろうか。

 また、スリップ率のデータのゼロ点が少し上にずれているようだ。 ノギスで測定したΦ10.1mm として計算しているが、Φ10.05mm とすると丁度良さそうであったものの、誤差の範囲と考えて、このモデルの動輪径はΦ10.1mm とする。 我が測定はノギスより正確だとは言いません・・・・・・・・・・・・。

 

■ 牽引力特性の測定

 速度特性に続いて測定台を傾けながら牽引力特性を測定した。 データを下に示す。

 スリップ限界はおよそ15グラム程度と判断する。 また、制動領域での電流値が小さいままであるのは、2条ネジのウォームの効果ではないかと思われる。

   

 電圧降下量は測定特性と同様に、小さいままである。 そして降下量の傾向は、その要因が見当たらず、ある一定値でばらついていると判断することにしよう。

 

■ 負荷時の速度特性

 負荷が掛かった状態では、速度によって電流値どのように変化するのかを測定した。 測定台の勾配を一定にし、供給電圧を変化させ測定したデータを右のグラフに示す。 勾配は一定であるが、上り坂と下り坂があるので駆動側と制動側に分けてデータを整理している。 駆動側では負荷無し( ただし、重り車両の走行抵抗分 1.0グラムが負荷として掛かっている。) の状態からほとんど平行移動している様子であるが、勾配がわずかに変化しているので、直線的ではあるが平行移動とは言えないようだ。

 

■ あとがき

 このモデルは、走行も安定しており、測定方法の改善の効果もあって、気持ち良く測定することが出来た。

 データから見て、走行性能あるいは動力性能としては “優の優” と評価したいモデルである。

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  2018/6/17