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大型蒸気機関車:   C57 180

 

実車プロフィール

 C57は、総数201両が製造された旅客用機関車であり、その均整のとれた姿から「貴婦人」という愛称で親しまれている。

 このC57 180号機は、1946年に三菱重工業三原工場で製造され、新潟、新津で活躍後、1969年に廃車され、新潟県新津市第一小学校で静態保存されるも、1998年にJR東日本へ返却され、復活のため大宮工場に搬入され、1999年3月に車籍復活する。 新津運輸区に所属し「SLばんえつ物語」号牽引機として現在も現役SLとして活躍中である。

模型プロフィール

メーカー :  KATO
製品名 :  C57 180
品番  : 2013
車両番号: C57 180
発売日 : 2006年 再生産品
入手日 :2006年12月1日 新品購入
定価 : \9,030.-

分解調査

● このC57-180号機(品番:2013)は、1983年に発売されたC57初代(品番:2007)から17年後に、新しく発売されたものであるが、初代のモデルの痕跡を多く残しているようである。

 なお、1983年発売後、何度も再生産されている。 品番が2007シリーズのC57を、自分は持っていないので詳しくはわかりませんが・・・・・・・・・・。
● 黒ニッケル車輪を採用。
● ヘッドライト点灯
● アーノルドカプラーからKDカプラーに交換する。

連結面間距離
152.0 mm
先輪車軸荷重
3.5 gf
動輪車軸荷重
56.9 gf
ギャ比 i = 27.79
車体全重量
90.8 gf
従輪車軸荷重
2.3 gf
テンダー車軸荷重
28.1 gf
動輪直径 D = φ12.0mm

● ボディを外し、テンダーを取り去った状態を上の左の写真に示す。 さらに、動輪ユニットを外した状態を上の右の写真に示す。 フレームに刻まれた刻印は2007で、C57初代の品番を示している。 ASSY一覧表を見ると、殆どのASSY品番に2013を用いているため、新規に構成したものと推察するが、部品単位でみると多くのもので、従来からの部品を流用していると思われる。 2007品番は、ロッドセットとライトユニット程度である。

● 動力ユニットは、C55 62 号機(品番:2011)と全く同じである。 これは品番が2013のC57は、先に発売されたC55と同じ動力ユニットを使用している、あるいは、もしかしてその前の、品番が2007のC57と同じもの? 即ち、同じ動力を20年以上も使っている事になるのだろうか。

● 動力機構は、ウォームと動輪のギヤの間を、ウォームホイールと一体となった2段ギヤ(上の中央の写真)で連結するシンプルな構成である。

● 動輪は、第2と第3動輪がギヤ駆動され、第1動輪はロッドにて駆動されている。 トラクションタイヤは第3動輪に履いている。

● 動輪を1回転させるために必要なモータ回転数、即ち減速ギヤ比は、

 ギヤ比  i = 24×22/19 = 27.79

である。

● 今回の分解整備中に、車輪をユニクリーナーで拭いている途中で、動輪のトラクションタイヤのゴムが簡単に切れてしまった。 そこで、ASSY一覧表に記入されていた品番を頼りに、ストック品のタイヤと交換した。 右上の写真。 大きい輪のもの(一方が切れているもの)が装着されていたもので、小さい輪のものが新品である。 大きさがこんなに違うの? ゴムの劣化やへたりによって伸びてしまったのだろうか。 それとも、装着時の緊迫力を高めるため、その後、径を小さく設計変更したのだろうか?

 ともかく、品番を信じてこの小さい輪のタイヤを装着する。 車輪の溝にピッタリと装着され、マイクロのC62の様に、走行中にゴムが外れるようなことはなさそうである。

    ( 2013.6.29 分解調査実施)

動力特性

 今回、走行中のモータ端子電圧とモータ回転数を検知する測定方法を工夫したので、この測定法によって動輪のスリップ率やモータ回路の電圧降下量のデータを紹介する。 なお、その測定方法は、「SLのモータ回転数を測定しよう その5  C57-180号機の測定 」 などの実験報告を参照下さい。

 測定状態の車列を下に示す。   測定実施日: 2015/9/4

速度特性:

 車速・電圧特性と電流・電圧特性は従来からの測定と同じである。 但し、データ量は半分にしグラフの大きさも小さくしている。 その理由は、「EF210-109号機の牽引力特性を測る」にて報告しています。 先回のデータと殆ど同じと判断出来るであろう。 今回、新たに加える事が出来るようになったデータも追加して示す。

 今回興味を持って観察していたのは、電圧降下を示すグラフである。 それは、テンダー式蒸気機関車のモデルの場合、集電機能はテンダー車から主に集電しているので、駆動力を発揮する動輪から集電する電気機関車の場合とこの点が異なっており、電圧降下の傾向も異なるのではないかと注目してる。 このC57-180号機の場合の電圧降下量とそこを流れた電流値のグラフから、 E = 0.0076×I - 0.1936 との関係を強引に求められるとすると、モータ回路の抵抗値は、7.6Ωと推定されるのである。

 スリップ率特性については、牽引力特性で顕著に現れるので、ここではパスする事にする。 また、モータ回転数と端子電圧の関係グラフは、特性的にはあまり意味がないのである。 それはモータの負荷状態が不明なので解析しようがないのであるが、ただ、データのバラツキが少ないという現象を確認する事が重要である。 それは、モータの回転数検知と端子電圧の測定方法が安定している事を示しているからである。 測定方法はOK だ!

 

牽引力特性:

 牽引力特性として牽引力と車速、牽引力と電流のグラフは従来からの測定と同じである。  こちのデータも先回のデータと殆ど同じと判断出来るであろう。

 今回興味を持って観察していたのは、電圧降下を示すグラフである。 電圧降下量の傾向は、殆ど一定値を示しているのである。 牽引力が変化しても、電流値が変化しても、また速度が変化してもほぼ一定である。 速度特性の場合は、あたかもモータ回路の抵抗値が、7.6Ωであるようなデータであったが、牽引力測定時でのデータではもろくも否定されてしまった。 何故だろうか?

 スリップ率のパターンは電気機関車の場合と傾向は同じと判断した。 摩擦係数としてグラフ化すると、所謂μカーブを表示するが、我が測定方法ではスリップ率全域をカバー出来ないのでこの程度のグラフで許して頂こう。 トラクションタイヤを履いているとはいえ、動輪はかなり滑っていることが分かる。

( 2015/9/6  追記 )

 

 ******** (以下は 2013/7/9 更新時のもの) ***********

 ここに示す動力特性の測定は、安定化電源を使用した自動測定システムにて実施する。

 

 測定実施日: 2013/7/9

 

速度特性:

 スケール速度の80Km/h を出すには、 4.5Volt 必要であり、一般的なNゲージと言える。 電流は、100〜 160 mA でやや高めである。 特性は意外とバラツキがあるものの、走行は安定している。

 車速と電圧、電流と電圧の関係は殆んどリニアな関係と言え、素性がシンプルなモデルと言えよう。

 

牽引力特性:

 動輪荷重が約57グラムで、トラクションタイヤを第3動輪にはいている。 粘着領域での牽引力は約17グラムであり、SL としては普通と言えよう。 滑り始めは14グラム付近である。

 一方で、駆動領域側の粘着力は、およそ25グラムもあり、駆動側と制動側がアンバランスである。 滑り始めも22グラム付近である。

 電流と牽引力の関係は、綺麗に揃っている。 制動側のパターンは、ウォームギヤに掛る力が逆転する遷移点は- 12グラム前後であり、制動領域は垂直パターンに近い形態を示している。

 特性値は整ったパターンをしているが、思ったよりもデータが散らばっており、やや安定性に欠けるようである。

 

 

 ********** (以下は 2011.2.11更新時のもの) ***********

 

速度特性:

 動力車の速度特性を測定する。 速度・電圧特性と電流・電圧特性を右に示す。 速度係数が30 Km/h/Volt と高く、 KATOの看板蒸気としては、古い設計仕様となっている。 

牽引力特性:

 動力車の牽引力特性を測定する。 牽引力の粘着限界はおよそ20グラム弱である。 構造が殆んど同じの C55 と比べて特性が異なるなるのは何故だろうか。 製造時期や設計変更があったのか、あるいは個体毎のバラつきなのだろうか。