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ATS列車自動停止システム 制御ユニットの工作

 ハード回路と搭載するプログラムの概要が確認できたので、いよいよ制御ユニットの工作を始める。

 

■ 制御ユニットの工作

 テスト回路をもとに、標準の制御ユニット回路を検討した。 このユニットは一つの閉塞区間を制御するもので、前後の区間とは信号線で接続する構成とする。 このため、自分の区間にある通過センサはS1としてピンプラグで接続し、先方の通過センサは信号線を介してS2として入力する。 さらにS1の信号は後方区間のS2信号となるように出力させる。 信号機への出力はピンプラグで接続し、給電線はリレーを介してターミナルブロックを使って接続するように構成した。

 

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 このATSシステムは分散制御を実施するため、その制御ユニットは線路脇の狭い空間に設置する事を基本としている。 このため、細長くても良いが、コンパクトであることが必修条件なのである。 さらに手作りでも対応できるようにと、片面のユニバーサル基板で制作できるように検討した。 また、抵抗やコンデンサはチップ部品を使うことにし、これらのチップ部品は裏側のハンダ面に設置することで、空間を有効活用する。

 このため、回路図をもとに、5mm角罫線のあるルーズリーフ用の用紙に何枚も実体配線図を描いてみた。 最初はとりあえず結線を主体に描いていき、余分な空間があれば、そこを埋めていく配置をあれこれ考えて、部品を詰め込んでいった。 どうしても配線出来ない部分はジャンパー線を使った。

 使った基板は、ユニバーサル基板Cタイプで、25×15個の穴数を持つものを、ちょうど中央で真っ二つに切って使用した。

 このユニットをとりあえず2個製作した状態を右の写真に示す。 裏側の配線はクチャクチャであるが、いずれはプリント基板にする予定でいるので気にしていない。 ビッシリと詰め込んだのが分かると思う。

 

 この制御ユニットを使って、簡単なレイアウトを組み機能テストを実施したが、配線類の多さに気が付き、実際のレイアウト組込には苦労することが容易に推察された。 特にコネクタを使っての配線は、設置場所と配線のための作業スペース確保に問題を生じるとのではと危惧した。 また、機能チェック時の経験より、制御のチューニング中は、何度も PICマイコン のを取り外してプログラムの修正が必要となったので、このためにも、 マイコンの取外しが容易な構造にしておく必要性を感じた。

 これらの反省より、新しく制御ユニットの構成を変えることにした。

 

■ 制御ユニットの改良

 改良の要点は、レイアウトの線路脇の狭いスペースに設置出来、また、マイコンの取外しが容易に出来るようにと、制御ユニットの心臓部を取外し可能な構成にすることである。

 具体的には、レイアウト工作時はレイアウトボードを取り外して裏側でも工作出来るので、固定的な配線はこの時実施してしまう事にする。 例えば、後から修正する機会は無いと思われる通過センサや信号機の設置とその配線作業は裏側から工作する。 そして、配線類が集約される基板も同様に裏側に固定してしまおうとした。 レイアウトベース間の配線は、接続部にコネクタを設けてことにしよう。

 そして、制御ユニットの心臓部は、配線類が集約される基板上に上から差し込んでセットするようにしよう。 そのための開口部は、レイアウト上に設けておくのだ。 こうすると制御プログラムのチューニングも実際の車両を走らせながら容易に実施できると考えている。

 このために、配線図を描直したのものを下に示す。 上のボードが上から差し込めるようにしたメインのボードである。 下のボードは、配線の集約のためのボードである。

 この配線に従った製作したユニットを下に示す。 マイコンは取外し可能なようにICソケットを使用するが、リレーはポイント駆動回路よりもおとなしい使い方なので基板に直付けとした。 左写真は上のボードと下のボードを示し、右の写真は上下を合体した状態である。

 また、信号機と通過センサとの接続は、レイアウト設置時に下のボードに直接ハンダ付けして結線する。 給電線もターミナルブロックの使用を中止て配線をハンダ付けし先端をコネクタを使って接続すようにした。 こうすると接続不良の発生を押さえる事ができると判断したのである。

 横からと上から見た写真を下に示す。

 まだ、PICマイコンを取り付けていないが、上の制御ボードをレイアウトから取外せば、マイコンの交換やプログラムの修正は容易となるだろう。

 ボードの裏側の配線の様子を下左に示す。 抵抗やコンデンサはチップ部品を使用して取り付けている。

 

■ 各要素の配線

 制御ユニットとセンサや信号機との配線具合をチェックするため、機能テスト用も兼ねて実際に配線を実施してみた。 上の右の写真は、それぞれの部品を揃えた状態であある。 制御ユニットの下のボードに配線を集約した状態を下に示す。

 信号機は「信号機を作ろう」で工作したものを、通過センサは「車両検知センサ」で工作したものを使用した。

 レイアウトの中心に配線している給電線との繋ぎは、とりあえずTOMIX 製の配線とコネクタを使用したが、これは機能テスト用に使用しただけである。 実際には、通常の太めのビニール線を使用するつもりである。 また、線路との繋ぎもこのような形にするか、線路の裏側から配線するかは、ケースバイケースで考えることにする。

 前後の閉塞区間と信号をやり取るする信号線もレイアウト裏側で実施するつもりであり、上から見えるのは、上下の制御ボードをつなぐコネクタの部分が見える四角い穴とセンサ、および信号だけにしようと考えている。 ただ、信号機やセンサとの配線は、レイアウトボードの表面を這わす等、レイアウトの見栄えを考えながら検討し、工夫のしどころでもある。 また、むき出しの制御ユニットも見栄えが良くないので、建物等の中や陰に隠すこともは必要かも知れない。

 制御ユニットを装着した状態を下に示す。

 この制御ユニットをレイアウトの各閉塞区間に設置する標準制御ユニットとし、設置場所に合わせて変形や修正を実施する。

 

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 2019/8/28 作成