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オハ31系の旧型客車に室内灯を組込む

■ はじめに

 昭和初期に活躍した蒸気機関車が牽引する旧型客車での編成を考える時に、昭和2年(1927)に登場した鋼製17m級客車であるオハ31系がマッチすると思います。 ダブルリーフの車体は、古武士の風格があり、好きな車両の一つです。

 このオハ31系の客車はKATOが最初に生産したモデルとのことで、何度か再生産が行われいますが、まだ、室内灯は搭載されていません。 自分が所有している客車類には室内灯を装着してきましたが、このモデルだけはなかなか手が出せませんでした。 それは集電付きの台車が無かったからです。

 今回、集電付きの台車を入手したので、室内灯を装着することにしました。

 

■ 対象とした車両

 対象とした車両は、KATO製のオハ31系シリーズです。 個別に収集したものです。 車種等はマイコレクションを参照ください。

 取りあえず分解してみました。 屋根を外す古い構造の客車です。 さて、どうやって配線をするかですね。 あの有名な「Nゲージ蒸気機関車」のサイトも参考にさせてもらいました。

 一番の問題は、台車の集電方法です。 下左の写真は、この車両の台車ですが、集電子が付いていません。 鉄コレやGMキットの台車の集電化工作に、以前はトライしてきましたが、集電の安定性やコロガリ抵抗の増加などの問題で、現在はその工作方法を中止しています。 今回、幸いにもオークションにて、旧型客車用で集電子が付いている台車を入手することができましたので、室内灯の加工を実施することにしました。

 今回入手した集電子付きの台車を上右の写真に示すものです。 ただし、入手できたのは、TR11が2台分、TR23が5台分です。 TR11は刻印されていた品番が5220-1でしたので、マニ60用の新式の台車のようです。 TR23は同じく5070でしたので、オハ47用と推定します。 このオハ31系には、本来はTR11の台車にすべきですが、形が似ているTR23で代用することにしました。

 ただ、品番が5220-1のTR11台車は、ネジ止め式なので、穴径がφ3.5mm とやや大きいためガタが増えそうですが、ピンを使用して台車を止める予定である。

 

■ 改造工作

 まず最初に、シャシーの加工からです。 集電子の突起が入る穴をあける必要があります。 下左の写真。 7台も加工する必要があるため、加工用の治具を作りました。 下右の写真。 駅のホームの切れ端がありましたのでそれを利用して、センター用の穴をあけ、リブ部の突起を避けるため溝を入れています。 それを基準にして両側にφ1.4 mm の穴をあけています。

 シャシーに治具をはめた状態を下に示す。 この治具の穴を利用してシャシーに穴をあけて行きます。下右の写真。

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 後は、穴を連続させ、バリと面取りを実施して集電子の入る穴は完成です。

 

 次に、この集電子と接触する集電板を作ります。 0.1mm の厚さのリン青銅板から83×6 mm の板を切り出し、 板を重ねて下の様な形状に仕上げます。 一部分を折り返しています。

 シャシーに幅 5mm の両面テープを貼りつけ、集電板を貼りつけます。 折り返した部分は、上に乗せるボディに通電させる導線の役割と、集電板を押さえておくためです。

 端部を拡大した写真を下に示します。 台車の集電子と接触するベロの部分は、注意深く調整が必要です。 特にすぐそばのシャシーの突起部分が内側にはみ出していますので、これに接触しないように集電板を削っておきます。 また、ベロの部分はシャシーと密着させる必要があります。 そして、台車を組み付けて、スムースに接触するようにチェックしておきます。 ここがこの工作の肝の部分と思っています。

 これらの作業に使用した道具類を上右の写真に示します。 ルーターは便利ですね。 必修道具です。

 次に、ボディの加工に入ります。 シャシーに組み込んだ集電板と接触通電させるために、ボディの裏側に 0.1mm 厚さの銅板 (裏側には接着剤が塗布されているもの) を貼りつけます。 そして、端の方に φ0.6mm の穴を開けます。 その穴に、電子部品の足の切れ端を使って内側との通電線とします。

 そして、銅板とハンダ付けして裏側の加工は完了です。 ボディの内側に出ている通電線は下右の写真のように、麦球の導線とハンダ付けします。

 麦球の電球ボックスは、「スハ44系客車に室内灯を設置する」で工作した方法と同じです。 今回使用した照明板は、東急ハンズで見つけたアクリル棒を使用しました。 サイズは 3×10×1000mm の角材で、 切り出す手間が大幅に省けました。 下左の写真。 角材を切断後、切断面は透明度を上げるために、粗目、細目のヤスリで端面の切断傷などを修正したのち、タミヤのコンパウンド(仕上げ目)とメガネ拭き用の布を使って、鏡面に仕上げました。 これによって、端部の透明度を確保することができました。

 一方、照明板の側面は明るく光る必要がありますので、粗目のヤスリを使ってすりガラス状に荒らしました。 左下の写真の一番手前の照明板が仕上がった板です。 光の具合でよくわから無いようですが、並べて比較すると一目了然です。

 順不同ですが、その他の工作として、屋根の裏側に重り板を両面テープで接着しました。 さらに、屋根部材の一部に切りかけがあり、この部分の遮光として、銀紙を貼っています。 右上の写真。 また、照明板の高さの保持のため、座席とデッキゾーンを区切る壁として1mm のプラバンを切り出し、下側をボディに接着しています。 このとき、窓部材が入るように側面は隙間を開けています。 電球ボックスを設置する側には、下左の写真のように電線が通る穴も開けています。

 

■テールライトの工作

 オハニ車両には、テールランプを付けることにしました。 部品は「Bトレ台車の集電化加工に四苦八苦」にて工作したセットが残っていたので、それを流用しました。 その組み付け状態を右上の写真に示します。 このオハニ車両は、半分が荷物ゾーンとなっているため、その仕切り壁も追加しています。

 この荷物ゾーンには車両中央部に扉がありますので、その部分のへこみが、屋根の切り欠けとなっています。 右上の写真。 そして、このオハニ車両は、重り板が錆だらけだったので、GMキットで使用していた重りを使用しました。

 テールライトの導光部分からは、赤い光が漏れていたので、粘土を使って部品を埋め込んでいます。 また、中央扉に対応する屋根の切り欠け部分も、銀紙で遮光しました。

 

■ 完成品

 完成した車両をレイアウトに入線させてみました。 12ボルト仕様の麦球はうす暗く、明るい昼間では点灯していることが分かりません。 夜のうす暗い室内の中では、下の写真のように、ほんのりと灯っており、旧型の客車にはぴったりのようです。

 テールランプは、明るすぎる程しっかりと灯っています。 また、写真のISO感度は最高にセットしていましたので、周りの風景がしっかり映っていますが、実際は夜中のように暗くて、さつきの家の明りがそれらしく見える程度です。 右の写真は、実際の感じに似せて、画像処理ソフトを使用してうす暗くしてみました。 本来なら露出補正を実施して撮影すればよかった様です。 写真はいろいろ誤魔化すことが出来ますね。

 牽引する機関車は C50 等がピッタリと考えていますが、KATO の C50 はヘッドランプが点灯しないので夜行列車には使えません。 今回はマイクロの C50 を使って牽引しました。