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鉄道模型実験室 No.252  小型のターンテーブル式実験装置 供給電源の比較

 小型のターンテーブル式実験装置を作り、色々な小形動力車の動力特性の測定を進めています。しかし、室内灯にテープLEDを装着している車両について、その電流特性が動力特性の消費電流に少なからず影響していることを確認するために、動力車に給電している電源の違いを検討しました。

 

■ 供給電源の違い

 何時も使用している安定化電源の場合は、一定電圧の直流電流を供給しています。この場合の測定状態を下に示しますが、走行中はヘッドライトは点灯するも、室内灯は消灯状態です。

 一方、パルス制御である PWM制御方式を使用したTOMIXのTCSパワーユニットN-1001-CL を使用した場合を下に示す。この場合は、ヘッドライトが点灯している上に、室内灯も点灯しています。この点灯ににより、消費電流が増加していることがよそうされるので、その違いを確認しようと実験しました。

  

 

 このTOMIXのパワーユニットは、0ボルトと12ボルトとのパルス制御であるため室内灯の3連式LEDと言えども点灯するのです。詳しくは、「テープLEDを使って4灯を点灯させる」(2021/12/10)にて報告を参照してください。その中の一つの特性図を右に転載しました。

 この車両の室内灯は、3連式のテープ式LEDであるので、8ボルト以上でないと点灯しないのです。従って安定化電源の場合は点灯しないのです。

 一方、PWM制御の場合は瞬間であっても応答性の良いLEDは点灯し、目の残像機能によってズーと点灯しているように見えるのである。

 また、前照灯の場合は、1個のLEDのために2ボルトを超えた辺りから点灯し、電圧によって徐々に電流を増加させて行くのです。

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 このような特性を踏まえて、鉄道コレクション12m級小型電車富井電鉄モ1033号車の動力特性を見ていきましょう。

 なお、PWM制御の場合は、0ボルトと12ボルトとのパルス波形なので、横軸としての電圧をどうの様に表示するのか迷うところであるが。

 ここでは、この測定装置の電圧測定回路をそのまま利用して得られた結果をそのまま表示している。 即ち、「測定回路部の改善工作」(2024/9/11)に示すように、10KΩの抵抗と100μFコンデンサによるローパスフィルタを通して測定し、測定プログラムでも累積値を使った処理などの工夫により、パルス波信号を平均化した値として処理している。 これによって、モータに働く電圧は直流の場合と同等であろうと判断したのである。

 また、ヘッドライトと室内灯はモータ回路と並列に接続しているので、電飾による電流増加の影響は駆動モータへほとんど影響しないと考えている。ただ、線路からの給電回路に存在する抵抗によって、電圧降下としての影響が少しはあるのではと思っていいる。

 

■ 特性の比較

 下記のグラフは、左側が安定化電源の場合で、右側がTOMIXのパワーユニットを使用した場合の特性です。

 

● 無負荷走行時の速度ー電圧の特性

 電飾による電流増加によって、集電回路の電圧降下が発生し、その結果として速度低下が多少は発生するものと予想していたが、反対の結果が出てしまった。

 TOMIXのパワーユニットの場合、完全なパルス波形ではないので、そこらあたりの特性が影響しているのか、あるいは、測定条件の変化なのか、あるいは測定回路の問題なのかは不明です。

 

 

 

● 無負荷走行時の電流ー電圧の特性

 消費電流に関しては、低圧ゾーンからハッキリと表れています。

 

 

● 牽引力ー速度の特性

 この場合は、殆ど差異は無いと判断できます。

 

 

● 牽引力ー電流の特性

 この力と電流の特性において、モータ自体の特性は電圧によってへっかせず、電流だけに依存する特性なのです。

 しかし、左側のグラフの様に前照灯の点灯によって、電圧に関係して増加している。

 さらに、室内灯が点灯している右のグラフでは大きく影響されています。

 

■考察

 ここでも、動力特性を測定する狙いは?目的は? の命題が関係してきましたね。

 もし、本当に動力部の特性をハッキリと知りたいのであれば、電飾回路を断ち切って(切断して)測定すれば良いのです。あるいは実際のレイアウト走行時の状態を把握したければ、使用されている電源と同じユニットを使って測定する必要があるのです。でもこれは面倒ですね。

 自分としては、この鉄道模型のメカに対して、中身はどうなっているのだろうか? その作動状態は? そしてその動力特性は? などの興味から始めた事なので、上記の命題は追求しないことにしています。

 即ち、ホビーの世界、趣味の世界なのですから、後期高齢者が一人で自己満足している状態です。

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 2024/11/2