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測定装置の製作 測定の自動化 各要素の工作

■ メインユニットの製作

 次に、Arduino 本体で構成するメインユニットを製作する。 回路は下のように設定した。 CN1は電圧・電流測定ユニットに接続するコネクタである。 CN2は傾斜角センサから、CN3とCN4は速度測定ゲートとの接続コネクタである。 動作状態を表示させるため、赤、橙、緑のLEDを点灯させる。

 回路はユニバーサル基板の上に構成し、「シールド」と呼ばれているようにArduinoの上に装着できるようにします。 このシールドと本体を組合わせた状態を下の写真に示す。

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■ 電圧・電流測定ユニットの製作

 電流の検出には、0.22Ωの抵抗をシャント抵抗として使用する。 500mA 流すと 0.11Volt の電圧差が生じる。 これを 510Ωと20kΩを使用してオペアンプにて 40倍に増幅すると、4.4Volt となる。 電圧は、コントローラの最大電圧を15Volt と考えて、1/3に分圧すれば良い。 5.1KΩと10KΩの抵抗を使用して分圧した。

 まず回路の機能を確認するためにブレッドボードに回路を組み込みテストし、オペアンプの動作も確認した。 コントローラの電圧を変化させて出力電圧をチェックした。

 オペアンプの電源は 5Volt用ACアダプターを使用して測定を実施した。 電流測定回路のオペアンプ出力が少し小さかったので、10kΩの抵抗を追加して、増幅率を40倍から60倍にアップすることにした。 そして、ブレッドボードで検証した回路をユニバーサル基板に組立てた。 出来あがった電圧・電流測定ユニットを下に示す。

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 この電圧・電流測定ユニットには、測定中に目視出来るようにと電圧計を取り付ける計画であったが、測定データの影響を心配して、高インピーダンスのデジタル電圧計のみにし、別置きとすることにした。 その電圧計を右に示す。 

 

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■ 車速測定ユニットの工作

  発光部の素子は室内灯などの工作で手掛けているLEDを使用する。 また、受光部としてネットで調べた結果。 小さくで応答性が良く、かつ素人でも容易に使用出来るものとして浜松ホトニクスのフォトICダイオード(品番:S9648-100)を選定した。

 次に、光のスリットの構成を検討した。 光のチャンネルとして、車両の通過を判断するには、幅の狭いスリットが有効であろうし、かつ有る程度の光量も必要であるので、縦長のスリットとなるように構成を検討した。 プラスチックの板を使用し、その上に薄板を積層して光のチャンネルを作るアイディアを採用することにした。 その構想図を右に示す。

 薄板を積層するので、LEDとして四角形の小型角型クリアレンズ白色LED、Linkman 製、品番:LSQLED-W4020、サイズ:3×4×2mm を使用する。 

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 光チャンネルの素材は、黒色の不透明なアクリルサンデー社の塩ビ板で、厚さ 3mm の低発泡塩ビ板、製品名:FOREX、と、硬質塩化ビニール板の 1.0mm と 0.5mm 、製品名:サンデーシートである。  厚さ 3mm の板は表面の光沢は無いが、1.0mm と 0.5mm の方は光沢があり、光を反射する。 そして、接着剤は塩ビ板専用の物を使用する。

 光チャンネルの中心に LED の光軸が来るように、0.5mm 、1.0mm 、0.5mm と順番に積層して厚さを2.0mm とし、1.0mm の部分を光チャンネルとする。 この厚さを2.0mm の層の両側を 厚さ 3mm の低発泡塩ビ板で挟みこみ、一方の塩ビ板を構造体のベースとして利用する構成にした。

 この構成により、幅が1.0mm 、高さが3.0mm の光のチャンネルを作ることが出来、さらに発光側と受光側を同じベース板の上に作ることが出来るので、チャネルの直進性も容易に確保出来るのである。 そして、スリットの高さは、線路道床の底面から 20mm の高さに設ける事にした。

 早速、寸法に合わせてプラ板から切り出した素材を右上の写真に示す。 

 まず@に示すように、ベースに0.5mm のピースを貼り付け、次にAのように1.0mmのピースを貼り付ける。 この時、φ1.0mm の真鍮棒3本を使って、ピースの端面が一直線になるように接着する。

 次に、この上に再び0.5mm のピースを貼り付ける。Bの写真。 この状態で真鍮線を抜き、光チャンネルの直進性をチェックする。 そして、LED が収まる事を確認する。 右上の写真のBの状態。 そして、最後に3mm のピースを接着したのがCの状態である。 次に、フォトICダイオードを挿入するφ5mm の穴をあけて完成である。

発光側と受光側の組付け状態や、光チャンネルのスリット状態も確認できると思います。

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 この状態のユニットを使用して実際に作動するかどうかテストすることにした。 ブレッドボードを使って電気回路を構成して、DC9Volt 電源にて発光を確認し、受光側の発生電圧を計測した。 LED は発光し、チャンネルを通って受光側に届いているのに、受光側から電圧が出ない? もう一度説明書を良く見ていたら、接続が逆であった。 説明書ではカソード側に+電位が加わるようにバイアスして使用してくださいと明記してあるのに、この逆バイアスの意味を理解していなかったのである。

 説明書どうりに接続しその電圧を測定したが、2Volt 弱であった。 電圧不足なので抵抗値を変えて実験する。 40kΩでは5Volt 強、30kΩでは4Volt 強であったので、 30kΩを使用することにした。 指で光をさえぎると電圧は殆んどゼロとなった。 また、明るい窓際に持っていくと、5Volt 以上の電圧が出てしまうので、フォトICダイオードの裏側は封鎖する必要があった。

 次に、このスリットのセットを木製の台に取り付ける。 端部は、長さが100mm となるように切りそろえた。 そして、 設計図どうりの高さ 20mm に取り付けるのであうが、ここでも真鍮線を使用した。 光チャンネルに3本の真鍮線を差し込み、高さが 20mm の木片に当てて高さを規制し、木ねじで固定した。 下左の写真。 完成したユニットが右下の写真である。

 完成したユニットの出来栄えをチェックしておこう。 再び真鍮線を通し、木製の本体との直角度をチェックすると共に、スリット間の距離を測定しておく。 第1ユニットと第2ユニット共に、スリットの中心間距離は 108.0 mm であった。

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  次に電気工作に移る。 抵抗を取り付ける基板は、72×47mm 基板を半分に切断し、回路を組み立てた後に本体の背面に設置した。 中央ユニットとはシールド線を使用して接続することにした。

 車速測定ユニットの本体に組み込んだ状態を下に示す。 シールド線は本体にしっかりと固定し、LED 等との配線接続部には、熱収縮チューブを使ってカバーしている。そのうちに、カバーを作って保護したいものである。

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 作製した二つのユニットについて作動チェックを行い無事作動することを確認した。

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■ 傾斜角測定ユニットの製作

 角度検出のセンサは、回転式の可変抵抗器φ24mm の10kΩ、B 特性のボリュームを選定した。 機械的回転角度は300度である。

 まずレバーは、厚さ 3mm のプラ板を整形しφ6mm の穴を明け、ボリューム用のつまみの底面と瞬間接着剤で固定する。 つまについているネジによって、ボリュームの軸とは任意の角度位置で固定出来る。 レバーの先端には、タミヤ製楽しい工作シリーズ、No.171、 3mmネジシャフトセットのピロボールナットとアジャスターを使用した。 また、ロッドは、ネジシャフトを切断して使用する。 このピロボールを使ったため、ジョイント部のガタはゼロに抑える事が出来ている。 レバーの長さは取りあえず 100mm とした。 下左のこれらの部品を示す。

 ボリュームを保持する台は0.3mm の真鍮板を活用し、クランク状に加工し剛性確保のため補強壁を2ヶ所ハンダ付けした。 キャンセル用のスイッチは 5mm 各のプラ棒の先に接着し、保持台とはスライドによって高さを調節できるようにしている。 これらの部品を組付けた状態を右上にしめし、レバー側から見た状態、上から見た状態を下に示す。

■ 測定台への取付

 次にこの検出部を測定台に取り付けた様子を下にしめす。  検出部は中間の台枠に固定し、ロッドの固定部は下側の台枠に固定している。 下左の写真。 傾斜台が折りたたまれた傾斜角ゼロの状態でのレバーとロッドは、右の写真の状態になる。 この時、キャンセル用スイッチも接触するように位置を調整して固定する。

 傾斜台が持ち上がると、下の写真の様にレバーは回転し、左が中間位置、右が最大位置の状態である。 この中間位置でレバーとロッドがほぼ直角となる位置にロッドの固定側の位置を決めている。

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■ 回路部の作成

 次に、オペアンプを含めた回路部分を作るためにボリュームの抵抗を測定した。

 傾斜角ゼロの状態からの立ち上り時の抵抗値は、不感帯の部分があったり、またすっきりと立ち上っていない様でもあった。 また、オペアンプも同様にゼロ電圧での不感帯もあるため、ゼロ点は、下駄を履かせて少し上げる事にした。 ボリュームのつまみ部分のネジをゆるめ、ボリュームを少し回した状態で、傾斜角ゼロを設定する。 この時の抵抗値は430Ωであった。 即ち、傾斜角ゼロでも 5Volt×0.43k/10k = 0.2Volt 程度は出ていることなる。 傾斜角の場合は、ゼロ位置から正確に測る必要があるため、この様な配慮を行ったが、同じオペアンプを使用する電流測定の場合は、ゼロ電流から測定することは無いので、心配する必要はないであろう。

 次に傾斜台をおよそ200パーミルに設定しボリュームの抵抗値を測定すると、2800Ωであった。 従って、ボリュームの出力電圧は、5Volt×2.8k/10k = 1.4Volt となる。 この結果、オペアンプの増幅率は、約3.5倍必要となる。 そこで、5.1kΩと 10kΩ+5.1kΩを使用して 20.2/5.1=3.96 倍の増幅率になるように回路を組むことにした。

 組み上がった回路を測定台に固定した状態を下の写真に示す。

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