
HOME >> 鉄道模型工学 > 粘着特性を測定しよう 新品のトラクションタイヤに交換
先回の報告では、3モデル中2モデルにおいて以前のデータとは大幅に乖離している状態であったことを報告した。これはモデル側に何かの原因があると想定し、その原因調査としてトラクションゴムの影響をチェックした。
課題を調べるため、トラクションタイヤを新品に交換して、滑空特性を調査した。車両はEF510-1号機とED75-710号機である。
■ EF510-1号機のトラクションタイヤを新品に交換する
6番手として測定した、KATO製のEF510-1号機について、トラクションタイヤを新品に交換して測定を実施した。使用した部品は純正品の EF58-31 トラクションタイヤ01-4019である。下左の写真。取り外したタイヤは、取り外す時点でポキポキト切れてしまうような弾性が無い状態であり、これではゴムとしての機能は無くなっていると判断される。車輪の溝部もクリーニング液で綺麗に掃除して、新品のゴム(下の写真に示す円形の部品)を装着した。
このような分解組付けの作業は、部品の紛失を防ぐため、底の浅い菓子箱の蓋を利用して実施している。下右の写真。
再組付けを実施後に測定を再開したが、今度は思わにトラブルに遭遇した。その状態を下に示す。
測定を開始して走行させると、上左の写真の様に、前側の台車が浮き上がり、そして脱線してしまうのです。前のj測定ではこのような事は無かったのに、トラクションゴムが効き過ぎて(?)、台車を持ち上げて傾き、前側の車輪がレールから外れたのです。そこでトラクションタイヤの位置を両台車共に、内側の位置から外側の位置に交換して走行させると、今度は後ろの台車で同じような台車の持ち上がりによる脱線が発生しました。上右の写真。
この現象は、以前に「台車の荷重移動 ボディーマウントの場合」(2019/10/7)などで取り組んでいた台車のピッチングモーメントによる影響であるとピンと来たが、その解析は未解決のままであった。そこで、今回の測定が直線線路であることから、下の写真のように、台車の側面を紙テープで軽く止めて測定を実施した。
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測定結果を右に示す。測定データはトラクション車輪の位置を変更する前のデータや脱線が頻発した時のデータも混在しています。 データはもうバラバラであり、意味をなさないと思って測定を中止した。
***************** 何か嫌な予感がします! ************************

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中止後の車輪の様子を下の写真に示す。
■ ED75-710号機も調べる
7番手として、上記は構造の異なるモデルとして、TOMIX製のED75-710号機を同様に調査した。最初に現状状態を今までと同様に測定した。
回転センサの取付も簡単であり、センサユニと6号を使用しました。
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通常の測定を実施した結果を右のグラフの「今回のデータ」として示します。やはり以前測定した値よりも少し下回っていることが分かります。
そこで、トラクションゴムを交換しました。右上の写真。使用した部品は、TOMIXの純正品であるJG02を使用しました。
その結果を右のグラフの「ゴムを交換」としてプロットしました。
******* アレー! 目を疑いました。 ****************
引張力は倍以上を示しているのです。途中で、タイヤの交換作業を実施しただけですので、測定の不具合や、装置の異常は考えられません。台車のピッチング状態も異常が確認できませんでしたので、交換したゴムタイヤの効果としか考えられないのです。
測定後の車輪の様子を下に示します。
■ まとめ
大いなる疑問を抱えたままですが、一番疑っていたトラクションゴムの影響がこんなに大きいのかとびっくりしている状態です。過去に測定してきた領域は、ほとんどが粘着領域でしたので、間違い無いと思っています。でも、今回の滑空領域ではその様子が違ってくるようです。
そこで次回は、トラクションゴムを使用していないモデルを使って、検証してみることにしましょう。