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交直流電気機関車:   EF510-1 (量産先行車の1号機)

 

実車プロフィール

 EF510形交直流電気機関車は、富山を中心に日本海側で活躍する貨物用EF81型電気機関車の置き換える目的で、平成13年(2001)に登場する。 機関車の愛称名公募により「ECO-POWER レッドサンダー」と名づけられ、平成14 年(2002)からJR貨物で貨物専用機として活躍しています。 先行量産機(1号機)は、2002年(平成14年)2月[1]に製作された。 既に実用段階にあった直流電気機関車EF210形の基本設計を踏襲したことから試作機とはされず、量産を前提とした仕様の「先行量産機」とされている。

模型プロフィール

メーカー : KATO
商品名 : EF510-1
品番 : 3051-1
車両番号 : EF510-1
発売日 : 2006年7月
入手日 : 2007年12月27日 新品購入
定価  : \7,140.-

分解調査

● KATOナックルカプラーを日本形として初めて標準搭載
● フライホイール搭載動力ユニット
● ローフランジ車輪
● サスペンション機構。

● カプラーの交換:2エンド側をマグネマティックカプラー No.2001に交換する。 2011年4月に、KDカプラーの使用保留に従い、ナックルカプラーに戻している。

● 主要諸元:

連結面間距離(ナックル)
137.5 mm
台車中心間距離
82.5 mm
台車軸距離
17.5 mm
車体重量
95.5 gf
前台車荷重(動輪)
40 gf
後台車荷重(動輪)
40 gf
動輪直径
7.4 mm
駆動系ギヤ比
26.0
フライホイール
φ10.4×7.5 - 2

● 車体の様子を下に示す。

 主な部品を分解した状態を下に示す。

 

 

集電バネの支持方法



  このモデルの動力部の構造は、従来のフライホイール搭載動力ユニットであるが、台車の支持方法について、集電バネの使い方がサスペンション機構と呼ばれている考え方に基ずいて設計変更されている。 今までは集電バネの下に設置されていたプラ製のガイドが、集電バネの上に設置され、集電バネの前後で規制するようになっている。 即ち、片端支持から両端支持に変わっている。 その構造を右上の写真に示す。

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 台車の構成部品を左の写真に示す。 そして、その構造をイラスト風に右に示す。

 ウォームの軸受は、シャシー側で支持されているので、台車の旋回によって、ウォームの歯の当たりが変化するが、これは従来と同じ構成である。

 減速ギヤ比は i = 26 で、動輪直径は、φ7.4mm であった。

 

 

 

 

 

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 電気回路を構成する部品類を右の写真に示す。

 モータは、まだスキューーを取り入れていない従来からのモデルを使用している。

 

 

 

動力特性

 【2015年3月】 改良した動力特性測定装置を使用して性能特性を再測定する。 この改良された測定装置では、従来の項目に加えて、走行中のモータ端子電圧とモータ回転数の測定を可能にしている。    2015/3/23 追記

● 測定日: 2015年3月18日、EF510-1号機の測定時の重量: 86.3グラム、 測定車の重量: 92.5グラム、走行抵抗: 1.2 グラム、  
    牽引力特性測定時の重り車両の重量:85.1グラム、 走行抵抗: 0.85グラム、  測定車の測定ユニット:モデル3、  スケッチ: New_Keninryoku_test5

● 今回の測定は、反省を踏まえて、電圧降下量の変化の影響をすくなくするため、測定するデータ量を減らし、素早く測定するようにした。

● 測定に先立ち、手製のカーボン・グリスを集電子のピポット部に塗布して実験を実施した。 これは、ピポット軸受部での電圧降下量の増加防止を狙ったもので、タミヤの接点グリースに、鉛筆の芯(B)をヤスリで削ったカーボンの粉を混ぜたものである。 試験走行では、無事に通電されていたようなので、試験的に実施したものである。

● このEF510-1号機については、2012年10月に、動力車の調査 KATO EF510-1 」 を実施している。 また、新しい測定方法をテストした 「動力車の測定を始める」でも測定を実施したが、測定方法がまだ不完全であったので、今回再度実施したものである。 さらに、「電圧降下の時間推移(5)」で連続走行時の特性の変化を測定している。

1)速度特性:

  動力車の速度特性として、速度・電圧特性と電流・電圧特性を下に示す。 以前の測定データとは、少しずつ違ってきているが、性能劣化なのか、測定方法の違いなのかは分からない。 データの違いは、あまり気にしないことにする。

 先回のデータでも、その兆候があったが、6ボルト付近では他のモデルでは見られない現象が発生している。 5ボルトから6ボルトにかけて、電流の増加勾配が増え、速度も低下している。 この近辺は、電圧設定を上昇したり下降したりして何度も往復させたが、データの様なヒステリシスを持って移行している。 今回は、「動力車の測定を始める」での経験を生かして、フライホイールに直接ペイントするマーキング方式を実施しているが、フライホイールの接触は見られなかったものの、アンバランスによる共振現象ではないかとみている。

 電圧降下量は、1.0 〜 1.2 ボルトもあり、意外と大きい値であった。 少しは、手製のカーボン・グリスの効果を期待したが、見事に外れてしまった。 ただ、グリースを付けても “ 悪さ” はしていないと思われるので、少し経過をみることにする。

2)牽引力特性

 測定するデータ量を減らすために、電圧パラメータを2個に減らした。 また、重り車両は、重めの車両を連結させている。

 駆動側の粘着領域での牽引力は、以前のデータのように 20 グラムを超えたる事が出来無かった。 測定方法の違いだろうか。 車輪のスリップは12グラムを超えた処から始まっている。 また、ギヤ類のの噛合い状態が変化する遷移点は、3グラム程度で、KATO製の特徴の様である。

 また、電圧降下量のパターンは、少し変形しているものの、傘形のパターンを呈しており、構造上の特性のような気がして来た。 μパターンは、やはり右上がりの形態の様である。

 電圧降下量の4ボルトと5.5ボルトとでの違いは、通電部分の汚れによるドリフトと判断する。 4ボルト測定後に、5.5ボルトの測定に取り掛かったが、実験手順のミスにより再測定を実施しているために、走行回数が少し経過している事、この後に実施した連続試験での結果より、電圧降下量がだんだん増加してしてしまったと結論付ける事が出来た。

 ( 2015/3/23  追記 )     


 

速度特性:

 動力車の速度特性として、速度・電圧特性と電流・電圧特性を右に示す。
 前進と後退は、少しズレてはいるが、構造上から考えてもほぼ同じ特性と判断される。スケール速度80Km/hは、電圧でみると、4.5volt近辺である。同じ電圧では遅い方と思われる。 速度係数は、約 25Km/h/Volt と小さめである。
 しかし、1voltを超えるあたりから動き出し、低速走行も安定している。

 走行時の電流はどんどん上昇しているが、その要因は未調査である。

 

牽引力特性:

 動力車の牽引力特性として、電圧4.5voltでの牽引力・車速特性と牽引力・電圧特性を右に示す。 最大負荷に対しては、速度は半減しているので、上り坂等でのスピードや減速気味かと思われる。 牽引力は 25 gr 程度でELとしては標準的な値である。

 制動側は測定の手抜きにより、まだ充分な調査が出来ていない。

 

■車両のメンテナンスの実施

 単機走行時の消費電流が多いのが気になり、車両の分解掃除を実施した。 モータ単品でも電流値が高かったので、ネットで参考にさせてもらった、ブラシ部にユニクリーナを垂らして回転させた。 黒い液体が飛び散り、幾分か電流値も低下した。 モータ軸のこじれも見られなかったので、このクリーニング処理だけ実施して再組付けを行った。

速度特性:

 再組み付け後の、速度・電圧特性と電流・電圧特性を右に示す。 全体的に車速が上がっており、電流値も幾分低下している。 モータのクリーニングでもこれだけの効果があるようである。

 

牽引力特性:

 動力車の牽引力特性として、電圧4.5voltでの牽引力・車速特性と牽引力・電圧特性を右に示す。

 牽引力も電流値も、全体的にバラつきの少ない安定した性能を示している。 牽引力・車速特性の形状が少し変化しているが、測定方法の問題かもしれないが、性能が安定してきたとも考えられる。これもモータのクリーニング効果なのだろうか?

 

 新たに調査した動力性能の詳細は、「 動力車の調査 KATO EF510-1 」 を参照してください。(2012.10.13)