
HOME >> 鉄道模型工学 > 粘着特性を測定しよう 電気機関車シリーズの測定
以前実施したすべり率データのある車両についてデータ補間のために追加測定を実施している。今回は電気機関車シリーズのEF210-109号機、EF510-510号機、EF81-119号機、EF64-1032号機、EF66-51号機の測定を実施した。
■ EF210-109号機を測定する
10番手として、TOMIX製のEF210-109号機を測定した。
このモデルでは、前照灯カバーが邪魔していたのでカバーとユニットを取り外して、センサユニット6号を使用してセットした。下左の写真。
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最初は、トラクションゴムをそのままの状態で測定したが、以前のデータよりもかなり小さい値で推移した。そこで、新品のゴムに交換することにした。古いタイヤはテラついている状態であり、取り外す際に切れ切れになってしまった。上右の写真。もう弾力は無くなって固くボロボロの状態であった。
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ゴムを交換後のデータも右のグラフの中にプロットした。でも、思ったほどには回復しなかった。また、不思議な現象のモデルとなってしまった。
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データ測定後の車輪様子を下に示します。ゴムタイヤの表面は新品ではあったが、少しテラついていた。この滑走領域での測定は、車輪には過酷な状態なので仕方のない事かもしれない。測定は手早く実施することにしよう。
■ EF510-510号機を測定する
11番手として、KATO製のEF510-510号機を測定した。
このモデルも照明基板が新しい構造であったので、フライホイールの観察窓を塞いでしまっていた。そこで、手つくりのにせ基板を作った。車輪で集電した電気はシャシーに伝わり、このシャシーからモータ端子を結ぶ経路を構成する部品である。
にせ基板を下左のようにセットし、観測窓にはセンサユニット6号を取り付けた。
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測定結果を右のグラフに示す。今回のデータも下回っているが、もう気にしないことにした。トラクションゴムが少しいかれてきて、表面の粘着力が劣化したのだと考えることにする。
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何のことは無い、今回の測定法は、トラクションゴムの劣化度判定方法となってしまったのだ。
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測定後の車輪の様子を下に示す。
■ EF81-119号機を測定する
12番手として、KATO製のEF81-119号機を測定した。測定データは「試験走行によるシステムの確認」(2016/2/3)に示す。
照明基板は古い形状でした。スペーサを使ってセンサユニット6号を取り付けました。
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なお、脱輪防止のために中間台車を取り外した状態で測定しています。
測定結果を右のグラフに示します。過去のデータよりも上回っているような状態ですし、センサ限界の50グラム重を越えていますね。予想外でしたが、測定の最後にいつも実施しているゼロ点チェックは、ドリフトも無くて異常ありませんでした。
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測定後の車輪の様子を下に示します。古いモデルなので、車輪が黄色っぽい色をしていましたが、特に異常は認められませんでした。
■ EF64-1032号機を測定する
13番手として、KATO製のEF64-1032号機を測定した。センサの取付前の状態を下左に示す。また、脱輪防止のために中間台車を取り外した状態で測定しています。
測定結果のグラフを上右に示します。このモデルでは過去のデータを補完しています。そして特性はやや右上がりの状態を示しています。測定後の車輪の様子を下に示します。
■ EF66-51号機を測定する
14番手として、KATO製のEF66-51号機を測定した。
センサの取付前の状態を下左に示す。また、脱輪防止のために中間台車を取り外した状態で測定しています。
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測定結果を右のグラフに示します。過去のデータと比較して、やや下回っている感じですし、やや右上がりの傾向も読み取れます。
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測定後の車輪の様子を下に示します。トラクションタイヤのゴムはやや劣化気味ですね。
■ まとめ
データのN増しのために、古いモデルも含めて測定を実施しました。そして、過去のデータと比較するために、トラクションタイヤのゴムはそのままの状態で測定しました。特に差異のあった車両は新品の部品に交換して測定しました。
その結果、納得が行くものと行かないものがありましたが、トラクションゴムの劣化度合いによる影響と考えることにしました。
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そこで次回は、蒸気機関車の測定を実施してみることにします。