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直流電気機関車:   EF210-109

 

実車プロフィール

  EF210形電気機関車は、JR貨物が1996年から製造する平坦路線向け直流電気機関車である。、東海道・山陽線系統の 1,300 t コンテナ貨物列車運転拡大に充当する目的で開発され、JRの機関車で初めて愛称が採用され、公募の結果「岡山機関区に所属する省電力大出力機」であることから「ECO-POWER 桃太郎」と命名された。

 109号機は2002年に100番台2次車として川崎重工・三菱電機で製造され、岡山機関区に配属される。 現在は吹田機関区で活躍中。

模型プロフィール

メーカー : TOMIX
商品名 :JR EF210 100形電気機関車
          (シングルアームパンダグラフ搭載車)
品番: 9142
車両番号: EF210-109
発売日 : 2013年
入手日 : 2014年1月 新品購入
定価 :  \6,600.-

諸元と分解調査

 

連結面間距離
123.0 mm 
車体重量
97.4 gr
前台車動輪荷重
45.8 gr
後台車動輪荷重
46.1 gr
動輪直径
φ7.6 mm
ギヤ比
i = 20.95

●カプラーは、かごめナックルカプラーに交換。

 分解した部品を下に示す。

 床下は細かい造形がされている。 また、動力機構はシンプルであり、フレームの組立にネジを使用しておらず、分解組付けが容易な構造となっている。

 動力台車やモータの位置決めと組み付けも容易である。 モータのフライホイールはやや小ぶりである。

 左右のダイカストフレームの表側と裏側を下に示す。 組み付け方向も明示されている。

 動力台車はユニット構造となっている。 車輪と接触する集電子は、車軸を上から抑える形である。

 ウォームギヤ部分を分解した状態を下に示す。 ウォームのリード角はやや大きそうであり、白いグリースがべったりと付着していた。 この車両は新品状態なので、まだまだ綺麗な状態であった。 また、ヘッドランプはチップLEDを使用している。

 *********** 追記   2015/3/11 ****************

 電圧降下量とスリップ率の測定のために追加実験を実施する。 センサーの取り付けのために、車体を分解するも、そのままでは、モータの回転を検出するためのフラーホイールが覗けない事が分かった。 下左の写真参照。 照明ユニットを納めている部材を取ってみるも、まだ見えない。 下右の写真。

 そこで、フレームを分解して、フライホイールに対応する左右のフレームを 2mm ほどヤスリで削り、観測用の窓を開けた。 さらに赤外線反射センサーの乱反射防止のため、窓の周りをペイントで黒く塗っておく事にした。 勿論、フライホイールには白黒のマークを刷毛で塗って、回転センサーのマーキングとした。 組付けた様子の撮影を忘れました。

 また、動力台車を分解し、(右上の写真) 測定時に必要な動輪直径と減速ギヤ比を実測した結果を、右のイラストに示す。 そして、集電子の様子も観察した。

 TOMIXの場合は、KATOのピポット軸受方式とは異なり、動輪軸の内側のφ2.4mm の軸部に集電シューを当てて、上からバネで押さえる方式である。 このバネを台車の上面まで押し込むには、二つのバネを合わせて100グラム近くの力が必要であった。 このバネ力で集電シューを押さえているので、集電シューは接触部分で 100÷2÷2=25 グラムの力で押しつけているものと推察する。 もっと軽い力で押さえていると思っていたが、意外であった。 接触部の摩擦係数を0.1と仮定すると、25×0.1×2.4÷7.6=0.79 グラムの力が動輪直径上に摩擦力として発生する。 この動輪は8ヶ所あるので、全部で0.79×8=6.3グラムの摩擦抵抗と計算される。 これは無視出来ない数値ですね。 摩擦係数はオイル潤滑なら0.05以下にはなるが、乾式状態では、0.2とか0.3になる恐れもある。

 

関連報告

◆ TOMIX製 EF210-109号機の動力特性の解析 (2018/9/1)
TOMIX製 EF210-109号機の動力特性の測定データをもとにして、「抗力係数に注目して解析する」にて報告した方法で解析した結果を報告する。

動力特性

 【2015年3月】 改良した動力特性測定装置を使用して性能特性を再測定する。 この改良された測定装置では、従来の項目に加えて、走行中のモータ端子電圧とモータ回転数の測定を可能にしている。    2015/3/12 追記

● 測定日: 2015年3月5日、  EF210-109号機の測定時の重量: 92.0 グラム、 測定車の重量: 92.5グラム、 走行抵抗: 1.2 グラム
   測定車の測定ユニット:モデル3、  スケッチ: New_Keninryoku_test5

1)速度特性:

  動力車の速度特性として、速度・電圧特性と電流・電圧特性を下に示す。

 昨年の測定データと比較しても、殆ど変わらないようである。 測定車をひっぱている分、速度が落ちたのかな? 程度に考えている。 新たに測定した電圧降下量は、先回測定したED75-710号機の0.2〜0.4ボルト台を期待したが、思ったよりも大きかったので少しがっかりした。


2)牽引力特性:

 今回の測定では、レールや車輪のクリーニング方法によって、測定データがかなりドリフトしてしまった。 その結果、ここに記載しているデータもある状態での測定データであり、条件が変わるとデータの様子もことなってくる事を了解しておいてほしい。 その実験報告は、「EF210-109号機の牽引力特性を測る」に記載している。

 データのバラツキやドリフトについては、許容して頂くとして、下記の 2014/6/6 に実施した測定結果での疑問が少し解消されたので、説明しておこう。

 牽引力特性のバラツキは、測定方法の不備、即ち、通電部や駆動部の汚れによる影響を考慮しなかったためと思われる。 また、ウォームギヤの噛合い状態が変化する遷移点については、集電シューの摩擦抵抗により、-10〜15グラムに位置しているため、駆動側から制動側まで直線的なパターンを呈しているのである。 このパターンは動力車に於いては、必ずしも不利な性能では無いと判断している。 途中に駆動機構がギクシャクする遷移点が無いので、重連させた場合には、その適合範囲が広くなるので有利となるものと思われる。

 また、このモデルの低速性能は、びっくりするほどの低速までスムーズに走行出来るので、走行させていても気分の良い車両のひとつである。

 ( 2015/3/12  追記 )     

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● 出力と効率

 上記の牽引力測定データを基にして、右に示す様に、出力と効率のグラフを追加する。 2016/11/27

 


 

  ここに示す動力特性の測定は、安定化電源を使用した自動測定システムにて実施する。 測定実施日: 2014/6/1。 発進停止特性は 2014/6/6 実施。

1)速度特性:

  動力車の速度特性として、速度・電圧特性と電流・電圧特性を右に示す。
  スケール速度80Km/hは、電圧でみると、4.0volt 近辺であるので使い良い領域である。 走行開始電圧は2ボルト前後で、低速走行はスムーズである。 測定データは直線的でバラツキは小さい。

 電流値は80〜140mA で一般的な領域であり、バラツキも小さい。 このことより安定した性能を示す構造の様である。

2)牽引力特性:

 動力車の牽引力特性として、牽引力・車速特性と牽引力・電圧特性を右に示す。

 粘着限界は約 26グラムもあり、充分な力を発揮するものと思われる。 しかし、速度特性で示した安定性が不思議なくらいに、速度データがバラツキ、測定方法の不備を疑いたくなるようなデータである。

 しかも、ウォームギヤの噛合い状態が変化する遷移点が不明確であり、構造的な要因ではないかと推定する。 走行状態を目視で観察するも、このような状態を予想するような形態は微塵も示さず、スムースに走行していた。 ぎくしゃくした動きは全く観察出来なかった。

 

3)発進特性 ランプ応答:

 超音波方式の距離センサーを使用した計測システムで発進時のランプ応答を測定した。 当車両は新しいモデルであるため、走り始めの電圧はほぼ安定していた。 下に4回の測定データを示す。 グラフの見方は、「発進停止特性を測定する」を参照ください。

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 走り始めの電圧が 1.5 Volt 近辺が1回、2.0 Volt あたりが3回であった。 さらに途中でピクリと動く場合も観察されたが、ほぼスムースにスタートしている。 最近のモデルではこの動き始めのスムースさが改善されおり、ホームからゆっくりとスタートする状態を楽しむ事が出来るようになっている。

 データとしては、推定速度が変化し始める時の電圧を読み取れば良いのであるが、やや曖昧であるので、電流と電圧のグラフを作成した。 その4回のケースの電流・電圧特性を右のグラフにに示す。 ゼロから 60 mA/Volt の勾配で電流は上昇していくが、モータが何らかの動きを示すとその勾配は変化する。 少し回転して止まるとドリフトも発生するようである。 この勾配の値からモータの内部抵抗は 17Ωと計算されるが、本当だろうか?

 モータが回りだすと(1)のデータに近づくはずであるが、ピッタリと一致している。 安心・・・・・!。

 

4)発進特性 ステップ応答:

 停止状態から、スケール速度 100Km/h のスピードまでステップ状に加速させる場合を測定した。 2回測定したデータを下に示す。 立ち上がりやオーバーシュート状態を観察しようとしているが、まだ未完成である。 (やや諦め気味である) この車両はフライホイールを搭載しているが、小ぶりのためか立ち上がりは早い。

5)停止特性:

 スケール速度 100Km/h のスピードで走っている状態から、電源を突然切ってしまった状態にして、その停止までの走行状態を観察しようとするものである。

 フライホイールが搭載されているが、停止距離は4mmと5mm であった。 意外と惰行運転はしないのである。