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鉄道模型実験室  電圧降下の時間推移(3)

■ はじめに

  先回報告した「電圧降下の時間推移(2)」に続き、TOMIX製の電気機関車で同じ実験を追加実施することにした。 今回は、手持ちのTOMIX製の電気機関車の中で、最も新しいモデルであるEF210-109号機を対象とした。 先回のED75-710号機では、電圧降下量が非常に小さかったが、今回のEF210-109号機はそれより大きいので、時間推移に注目して実験した。

 

 

■ 実験方法とその結果

 電圧降下の時間推移を観察する実験は、前回のTOMIX製ED75-710号機と同じ方法で実験した。 ただし、実験前のクリーニング方法は、「EF210-109号機の牽引力特性を測る」にて説明したクリーニング方法Cで実施した。 勿論台車部分は、一度分解して各部をクリーニング再組付けを実施して測定を開始した。

 実験条件は、無負荷状態、( と言っても測定車を牽引しているので、1.3グラムの負荷が常に掛っている ) で、黙々と周回させて、その時の様子を測定している。

 走行条件は 

である。 また、0〜450回( 0〜225周) までは連続走行させている。 時間は62分間、即ち1時間も連続走行させた。 速度の低下が顕著に表れ出したが、急用が出来たため、ここで実験を中断し、翌日その続きを再開させた。 再開に当たっては、レールと車輪を方法Cでクリーニングする。 451〜570回まで18分間走行させる。 その後、集電シューの部分にクリーニング液を垂らして実験を再開する。 571〜780回まで31分間走行。

 この実験結果を下に示す。

 電圧降下量はED75-710号機のように、だんだん小さくなって行かなかった。 期待はずれである。 そして一度は上昇するも、その後だんだんと下がって来るが、途中からまた上昇している。 しかし、走行は安定しており、走行音も変化はなかった。 D値のデータを見ても、データのバラツキが少ないのである。 これは安定した集電性能を示しているとおもわれるが、電圧降下量がこのように変動する原因は、よくわからない。 電流値が少しずつ上昇しているのは、どこかの摩擦抵抗が大きくなってきたためなのうだろうか?

 中断後、レールと車輪を方法Cでクリーニングしたので、電圧降下量が少しは低下しているのではと期待したが、高止まりでとなっている。

 これも期待を裏切られたが、と言う事は、それまでの電圧降下量の変動は、レールと車輪の間の電圧降下ではない事を意味する。 すると、集電シューの部分での電圧降下なのだろうか。 そこで、570回の走行後に集電シューの部分にクリーニング液を垂らしたのである。 その結果は、やはり電圧降下量はドスンと下がるものの、すぐに上昇を始めている。 早とちりかも知れないが、集電シューは意外と早く汚れると言うことではないだろうか。

 中断後の運転再開時に、電流値が高く、速度が遅いのは、モータが冷えていたからと勝手に解釈している。 また、集電シューのクリーニングは、電流値がだんだん下がっていっているが、液が軸受などの摺動部に浸み込み、摩擦が小さくなったのではないかと想定するのであるが、何とも言えない。 でも、この方法は影響度合いが良く分からないないので、推奨出来ない方法と考えます。

 

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■まとめ

 実験前は、TOMIX製のED75-710号機の様なデータを期待していたが、見事に裏切られてしまった。 構造的には殆ど同じなのに、どうして違ってくるのだろうか、腑に落ちない点が多い。 やはり、1個や2個の測定データで判断するのは危険であるとの教訓としておこう。