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鉄道模型実験室  電圧降下の時間推移(4)

■ はじめに

  先回報告した「電圧降下の時間推移(3)」に続き、KATO製の電気機関車に戻って同じ実験を実施することにした。 今回は、手持ちのKATO製の電気機関車の中で、新しいモデルであるEF510-510号機を対象とした。 先回のKATO製電気機関車EF81-81号機では、電圧降下量の増加が非常に大きかったので、今回のEF510-510号機でもその時間推移に注目して実験した。

 

 

■ 実験方法とその結果

 電圧降下の時間推移を観察する前に、速度特性と牽引力特性を測定した。 その結果は、「マイコレクションのEF510 500番台 カシオペア色」にてEF510-510号機の測定結果を報告しているので、参照ください。 測定は先回の反省を踏まえて、電圧降下量の変化の影響をすくなくするため、測定するデータ量を減らし、素早く測定するようにした。 そして、電圧降下量はEF81-81号機よりも小さいが、時間経過による変化に注目しよう。

 また、性能測定の実験前のクリーニング方法は、分解して各部のクリーニングを実施したが、時間推移の実験では、レールと車輪のみ方法Cのクリーニングを実施した。

 実験条件は、無負荷状態、( と言っても測定車を牽引しているので、1.3グラムの負荷が常に掛っている ) で、黙々と周回させて、その時の様子を測定している。

 走行条件は 

である。 そして、0〜240回( 0〜120周) までは連続走行させている。 時間は35分間連続走行させた。 ここで、夕食の時間となってしまったので、実験を中断し、翌日その続きを再開させた。 再開に当たっては、測定のためのパソコンのセッチングと、測定装置の各部のスイッチをONしただけで、クリーニングなどの操作はしていない。 そして241〜540回まで45分間走行させる。 その後、レールのみを方法Cにてクリーニングして実験を再開すし、5411〜690回まで20分間走行させる。 レールのクリーニング効果が、直ぐに無くなったので実験を完了した。

 この実験結果を下に示す。

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 電圧降下量はEEF81-81号機のように、途中から大きくはならなかった。 そして一度は上昇するも、その後だんだんと下がって来るが、理解に苦しむ。 実験再開後は、モータの暖気運転の状態であるので、それに相応して変化したものと推定する。

 そして、電圧降下量が少しずつ上昇してきたので、レールのクリーニングを実施してみたが、その効果は確かにあったものの、直ぐにもとの値まで戻ってしまった。

 今回も、この電圧降下量の挙動変化は、どうも理解できない状態である。 そこで、測定中に気になっていた、D側とU側の変化を解析してみた。

 小生の実験装置は、楕円形のエンドレスレールで、測定台を傾斜させて、負荷を与えている。 その傾斜は右側が上がる構造のため、手前の線路を走る時はダウン状態となり、奥側を走る時は登り状態となる。 そして、その直線のエンド部分で各要素の測定を実施するのである。 このDown とUp の信号をもとに、データを分けてグラフ化したものを右に示す。 

 最初に示したグラフでは、電圧降下量はかなりバラツイテいるように見えるが、D側とU側に分けて表示してみると、せれぞれのバラツキは小さい事が分かる。 それよりも

D側とU側の違いの方が大きいようである。 エンドレスレールを一周する間に、D側とU側が交互に表われるので、車体側の要因ではなくて、レール側の要因である事は、これではっきりと言える。 それでは、なぜ、レールの場所によって汚れ程度が異なるのだろうか?

 今回の実験は、無負荷状態、即ち測定台を水平にして実験しているので、D側もU側も同じ条件であると思っている。 しかし、U側はじわじわと上昇して行くのに、D側はアップダウンを繰り返している。 レールをクリーニング後もすぐに下がらず、じわっと下がって、その後、急激に元に戻っている、いや汚れてしまっている。 どうも不思議な現象である。

 

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■まとめ

 今回の実験も腑に落ちない結果となってしまった。 やはり、1個や2個の測定データで判断するのは危険であるとの教訓なのだろうか。