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ミニレイアウト 雪景色を作ろう (1) 

■ いきさつ

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 ミニレイアウトとして、講談社の「昭和の鉄道模型をつくる」によって制作したレイアウトを改造してきた。 そして、「トーマのB6を走らせる」(2013.11.3) の改造から、およそ一年が経過していたが、またまた、改造の虫が動き出した。 一昨年の改造時点のレイアウトを上から俯瞰した状態を右に示す。

 気になってきたポイントは、島式のホームである。 この小さなミニレイアウトには少し無理があり、苦しいカーブ途中にホームを作っていた。 そこで、田舎の駅らしく対向式のシンプルな駅に変更した方が良いのではないかと考えるようになった。

 もう一点は、勾配である。 前面の走行部分を雛壇のようにしようと言うことで、あえて勾配を付けたが、小さな動力車には負担が大きかった。 このため、勾配を緩和すべく、手を加えることにした。

 このような訳で、主に手前の部分を重点にして、またまた手直しをすることにしたが、その工作途中で、さらに、雪景色風景を作ってみたいとの思いが出てきてしまい、初めての雪景色工作となってしまった。

  

 

■ 改造作業

 駅の配置と勾配の緩和のために、外側と中間の周回路部分の線路を剥がし、線路道床の底上げを実施した。 道床はベニヤ板を使用し、底上げばスタイロフォームなどを使用して高さを調節し、隙間を紙粘土で埋めた。 今回の変更では、隙間部分が大きく、紙粘土ではまかないきれないので、補強材と増量材を兼ねてスタイロフォームの切れ端を混ぜ合わせて使用してみた。

 残しておいたスタイロフォームの切れ端を細かく切り砕き、紙粘土に混ぜ合わせて、隙間部分やかさ上げ部分に貼りつけた。 下の写真。

 固いスタイロフォームが隙間を保持する補強材にもなり、紙粘土だけの場合のように、ぬるぬると隙間の奥深くまで入り込まず、入り口部分で固まってくれるため、材料の節約にもなるし、強度も充分保持する事が出来た。 これは、セメントに骨材として砂利を混ぜる方法と同じであり、我ながらグッド・アイディアと思っている。

 こうやって新たに線路を引き直したが、白い紙粘土で地面を工作しているうちの、このまま、白い地面が生かされないかと、ふと思ってしまったのである。 今回、その状態の写真を撮るのを忘れたが、「遥友鉄道 (4)また作り直し」の作業中にも、同様な考えがあった事を思い出しました。

真っ白な地面で、雪景色のようです。 このまま、冬景色のレイアウトにしようかとも迷いましたが、 緑にあこがれて緑のターフを振り撒きました。 夏冬リバーシブルなレイアウトが可能となれば良いのですが。 建物は夏用と冬用を用意して取り換えればよいのですが、地面の処理をどうするかですね。

 この時の思いを今回実施してみようという気になってしまい、突然ながら雪景色工作になってしまいました。

■ 雪景色用の材料

 白い紙粘土のままでは、雪景色がいまいちです。 そこで、雪用の材料を検討しました。 ストック品の奥から下左の様な材料を待ちだして来ました。 実は、以前から雪用の材料を探していたのです。 左端は、MORIN のスノーパウダー(No.512)市街地の雪で、中央は同じく(No.513)粉雪です。 材料は粉状大理石とのこと。 右端は同じく水泡表現素材(BW-01)です。 材料は粉末ポリエステルとのこと。 これらの材料は使えそうですが、量が足りません。 買い足すにしても費用が掛りそうだし・・・・・・・。

 下右の写真は、TOMIX のシーナリープラスターです。 KATO 製も以前使用した事がありますが、固く固まってしまい雪景色用の材料には向いていないようです。 今ではプラスターの代わりに、もっぱら紙粘土を使用しています。

 次に手芸屋で見つけたのが下左の写真に示す樹脂風粘土、グレイスホイップタイプです。 樹脂風粘土をベースにした、しなやかなホイップクリーム状粘土で、ケーキやアイスクリームの模型を作る材料です。 乾燥後も弾力があるとのことで、雪用材料に合うかなと思って購入してきましたが、何時も使っている紙粘土と大差ないし、一箱が500円もするので使用しませんでした。 原料は、酢酸ビニールエマルジョン、微小中空樹脂、澱粉、安定剤、合成糊剤、などです。

 次に注目したのが、ホームセンターで見つけた粉チョークです。 右上の写真です。 ライン引き専用とのことで、大工さんが使用するものらしいですが、どうやって使用するのか分かりません。 なんでも

 工作物の材料などに直線を引くための道具として、墨壺における墨の代わりに専用のチョークの粉末を用いる、チョークラインと呼ばれる道具もある。

とのことです。 材料は炭酸カルシュウムとのことです。 水を垂らして見ましたが、溶解してしまうこと無く白いままでしたので、これを茶こしで振って、仕上げに使う事が出来そうです。 300グラムが \409.- でしたので気楽に使う事が出来そうですし、炭酸カルシュウムなので害はなさそうです。

■ ベースとする材料は?

 仕上げとして粉チョーク材を使用することにしたが、雪景色のベースとする材料を探さねばなりません。 まず、地面作りとしていつも使用している「かるがる」の紙粘土に注目しました。 この紙粘土は、微小中空球樹脂をメイン材料として、無機粉と繊維を混ぜ、合成糊材で固めているようです。 微小な中空球状をした樹脂のために軽い材料に仕上がっているものと判断しています。 また、合成糊材を使用しているために水を加えると柔らかくなるものと思います。 幼児でも遊べるように、安全に気を配っているようであり、安心して使用出来ます。 そして、ボリュームが有って安い事が小生にとっては最大のメリットとなっており、愛用している理由の一つです。 保管は乾燥防止のため、密封容器に入れて保管しています。 値段は2個入りで \275 円でした。 

 この材料を使って雪帽子(綿帽子?)を作ってみました。 下左の写真。 樹木に貼りつけているフォーリッジ・クラスターへの喰い付きが悪いので手芸用の綿を混ぜてみましたが、写真のようにしっくりと行きません。 建物の屋根には紙テープを貼ってその上にこの紙粘土を貼りつけていますが、様になっていません。 下右の写真は、台所用換気扇のフィルターとして使用している薄い不織布を使用して、フォーリッジ・クラスターの上にかぶせて紙粘土を貼りつけてみました。 写真のように、雪の部分は剥がせるように工夫したものです。 これは、夏冬兼用のレイアウトを目論んでいたものですが、仕上がりはあまり良くありませんでした。

 雪用の粉類をボンドで固定すると、もう剥がすことが出来ません。 小生のようにレイアウトを度々解体している輩には非常に抵抗感が有ります。 レイアウトそのものは解体しても、ストラクチャなどは再利用したいからです。

■ 再利用を考慮した工夫

 TOMIX のシーナリープラスターやグレイスホイップタイプを使用してテストしていた時、「かるがる」の紙粘土が水で再溶解する事に気が付きました。 一度固まってしまったものでも、水を付けると柔らかくなるのです。 これは、接着剤として合成糊材を使用しているためではないかと思います。 そこで、実験してみる事にしました。

 まず、線路とストラクチャに、この「かるがる」の紙粘土を下左の写真の様にべたべたと貼りつけました。 一晩置いてからカチカチになった状態で、ガラスビンの中に掘り込みました。 下右の写真。

 次に、下左の写真のようにビンの中に水を満たし、そのまま置いておきました。 次の日の朝には、下右の写真のようになっていました。

 ビンを振り回して撹拌すると下左の様に白濁しましすが、時間が経つと下右の写真のように、また、少し澄んで来ました。

 この状態で、内容物を引き上げたのが下左の状態です。 べたべたと貼りつけていた紙粘土は、殆ど消えています。 そして、サーと水洗いすると下右の写真のように、すっかりと紙粘土は取れていました。 この様に、ストラクチャや線路などの部品は再利用が可能となりました。

 【結論】 「かるがる」の紙粘土は、水で溶かすと消し去る事が出来る!                      

 これは、願ってもない特徴である。 雪景色用として白い紙粘土をべたべたと貼りつけても、不要になったら水の中にほり込んでしまえば、ストラクチャは再利用出来るのです。 樹脂製のものなど、相手が水に溶けない物であり、かつ、錆付やショートの恐れの無いものであれば、安心して使えるである。 フォーリッジ・クラスターを貼りつけた樹木や地面にも応用できますね。

 そこで、当初目論んでいた夏冬兼用のレイアウトは諦めて、ストラクチャ類が容易に再利用出来るこの方法に方針変更することにした。

 

■ 雪景色を作る

 こうして、安くてボリュームのある「かるがる」の紙粘土をふんだんに使用して雪景色を作ることにしました。 ここで、もう少し工夫して、へらで乗せたり、筆でなどったりして紙粘土を塗るために、もとの材料に水を加えて、“ 中ドロ ” と “ トロトロ ” の紙粘土を作りました。 即ち、粘度を3段階に分けた紙粘土を用意する事にしたのです。 そして、下の写真のように蓋付きのビンに入れて保管するようにしました。

 “ もともと ” の状態と、“ 中ドロ ” と “ トロトロ ”の状態の紙粘土を使い分けしながら、建物から、線路から、樹木や畑まで、白い紙粘土を塗りたくることにしました。

 樹木に雪帽子を乗せる時、“ もともと ” の状態の紙粘土では、強く押し付けないとすぐに取れてしまいます。 そして、強く押し付けると今度はフォーリッジ・クラスターが木の幹から取れてしまいます。 このため、“ トロトロ ”状態の紙粘土を筆で塗っておき、時間が経ってから “ 中ドロ ”状態の紙粘土を塗りつけていきます。 こうすると雪帽子を任意の形で容易に乗せる事が出来ました。 地面に貼りつけたフォーリッジ・クラスターも同様ですので、草むらや灌木類の雪景色工作は楽々です。

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 また、最終的な仕上げとして、全部の雪表面に “ トロトロ ”状態の紙粘土を筆で塗ておき、この粉チョークを茶こしの中に入れて、上からトントンと振りかけて、積雪状態を表現し、紙粘土が乾くのを待つようにするつもりです。  “ トロトロ ”状態の紙粘土は振りかけた粉チョークの接着剤の役割を果たすものと期待しています。

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 こうして工作を進めていますが、その工作途中の状態を左の写真に示します。

 駅の部分と中央の古い町並みは、まだ未工作の状態ですが、順次作業を続けています。

 レイアウト変更した島式の駅から、対向式の駅に変更しましたが、以前の状態より駅舎もマッチしており、田舎のステイションらしくなりました。

 ホームはストック品を集めてきましたが凸凹していたので、茶色の紙テープを貼りつけて、整えました。 この上に雪を降らせる予定です。 そして、小型SLとBトレ客車を置いてみましたが、なかなか良さそうです。

 まだ、駅周りが寂しいので、信号機や踏切なども置く予定です。 また、線路部分は、 “ トロトロ ”状態の紙粘土を薄く塗ってみましたが、線路も再利用出来るので、安心して紙粘土を塗りたくっています。 ただし、可動部と電気接点あるポイント部分は避けることにしています。 また、手前部分の段差は、勾配緩和のためのかさ上げによって生じたもので、およそ 20mm 以上もかさ上げしたことになります。 雪景色と言うことで誤魔化せそうである。

 こうなると、走行させる列車の屋根にも雪が必要となってきますね。 でも、「かるがる」の紙粘土を使えば、水で消し去ることが出来ますので安心して細工出来そうです。 さらに、下の写真に示す丘の部分で、仕上げ方法のトライをしてみました。 道路や校庭の部分まで、薄い積雪状態が表現出来ており、樹木や屋根の雪もそれらしくなってきました。

 折角の雪景色ですから、街の灯りを灯した状態も表現したくなりました。 このため、この丘の上のストラクチャにも灯りを入れる工作が必要になりますし、街灯の灯りも増設する必要が出てきました。

 次回の報告は、これらの工作と仕上がり状態を報告しよう。