HOME >> マイコレクション > 蒸気機関車リスト > C56 149
C56は線路規格の低い簡易線路用の機関車としてC12 型を改良して誕生した。 小海線での活躍が有名で、高原を走る軽快な姿から「ポニー」の愛称で親しまれました。
C56 149号機は、1938年に製造され、仙台・米沢・釜石と活躍した後に、中込機関区へ転属し小海線で活躍しました。 その後、1973年に廃車。 山梨県北巨摩郡高根町町営ロッジ清里高原美わしの森「町営宿舎たかね荘」保存されていたが、現在は清里駅前に保管されている。
メーカー : KATO
品名: C56 小海線
品番: 2020-1
車両番号: C56 149
発売日 : 2012年10月31日
入手日 : 2012年11月1日 新品購入
定価 : \10,500.-
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● C62型で完成したコアレスモータなど、最新技術が詰め込まれた次世代型動力ユニットの最新モデルである。 縮尺通りの小型蒸気機関車として、今後の車種展開を期待して行きたい。
● ミニレイアウト走行可能。 低速運転も滑らかで、ミニポイントやクロスでも脱線はほとんどなく、R140mmの曲線でも快適な走行が出来ている。
● カプラーはアーノルドカプラーからカトーカプラーNに交換する。 現在は、さらにマグネティック・ナックルカプラー(28-150)に交換している。
● 主要諸元は次の通りである。
連結面間距離 | 99.0 mm |
先輪車軸荷重 | 3.3 gf | 動輪車軸荷重 | 27.2 gf | ギャ比 | i = 30.32 |
車体全重量 | 46.1 gf | 従輪車軸荷重 | --- gf | テンダー車軸荷重 | 15.6 gf | 動輪直径 | D = φ9.2 mm |
なお、先輪車軸荷重には、バネ力も含む。
● まず動力部を取り出す。 ボイラとキャブ、およびランボードとの別体化はC62型と同じであり、標準化されたようである。 モータ搭載を優先させたため、ヘッドライトユニットの搭載場所が無くなってしまったようで、キャブ室から導光部材でヘッドまで導いている。 また、ランボードは動輪を外さないと取り外せなかった。
● 動力ユニットを四方から眺めてみよう。 コアレスモータを後方に、ウォームとフライホイールは前方に配置しており、D 51型の配置である。 ウォームはフライホイールの一部を削り取って形成しており、ウォーム軸の長手方向の長さを詰めるための工夫のようである。 そして、このウォームの内側に6角穴を作って、モータと連結するジョイントを挿入する構造となている。 ウォーム軸はフライホイールの両側を軸支する構造のため、ウォーム部分は片持ち状態となっている。
● シリンダブロックの別体化や、サイドロッドの分割、ブッシュの装着方向、動輪の軸構造などC62形を踏襲している。
● 全部品を分解してみよう。 2個使いの部品(同じ物を2個使用すること)が3種類もあった。 また、ネジを一本も使用していないことに驚いています。
● 再組付け時に、動輪押さえを組付けようとしてネジを探したが何処にも無かった。 あせって分解品の箱をひっくり返したして必死に探したが、やっと気が付いた。 そうだネジを使っていなかったと。 でも動輪押さえにはネジ用の穴があいているのに! いぇいぇ、この穴は車両をホルダを固定する穴でした・・・・・・・・。
● 左右のフレームの表側と裏側です。 動輪を押しつけている板バネの機構も採用されています。 形がだんだん複雑になってきております。
● 写真のホワイトバランスがコントロール出来ていません。 光の当たり具合によって色合いが変わってしまっています。 また、フレームの厚みが増えた様な気がします。いままで寸法をチェックしなかったので、何とも言えませんので、それぞれのモデルの部品を並べて比べてみたいですね。 部品がごちゃごちゃになってしまう恐れがありますが・・・・・・。 また、ギヤの軸が細くなったようです。 軸径はφ1.0mm で、2016のD 51ではφ1.3mmでした。
● 次にウォームを示す。 ウォームは、C62型(品番:2017-2)と同じく、珍しい左ネジで、さらに、2条ネジになっています。 リード角を立てるために2条にしたようです。 ピッチ円が少し大きくなっているので、効果は減少していますが、リード角はC62の4.2°から、7.3°と大きくなっています。
● モータは今までのモデルと外観的には同じですね。 お尻の刻印は2でした。
● 歯車は新設されています。 ウォームはモジュルが0.3 ですが、たのギャは 0.25 でした。 材質も半透明の乳白色です。 ウォームギャの位置から第3動輪のギャまで遠くなっているので、間にアイドラを噛ませています。 ウォームの小ギャは、歯数が Z = 11 ともっとも少なく、 転位等を施しているものと思われます。
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● 次に動力伝達機構のイラストを左に示す。
● ウォームギヤのトルクは、ウォームホイールに伝達され、ウォームホイールに成形されている小ギャと、それと噛合うアイドラギャを介して第3動輪に伝達されます。 第3動輪はトラクションタイヤを履いているため、ここで主に牽引力を発揮します。 そして、第1動輪と第2動輪はサイドロッドによって駆動されています。
● 歯車の構成と諸元もD 51モデルと同じであった。 動輪の大きさは、さすがに同じ部品を使用することは出来なかった様である。
● 動輪を1回転させるために必要なウォームホイールの回転は、
ウォームホイールの回転 = 29/11 = 2.636
回転である。 ウォームホイールの歯は、23枚なので、この間に 23×2.636 = 60.64 枚の歯をウォームは送らなければならない。
● ウォームは2条ネジなので、一回転に付き2枚の歯を送るので、最終的には、動輪を1回転させるために必要なモータ回転数、即ち減速ギヤ比は、
ギヤ比 i = 60.64 ÷2 = 30.32
である。
● テンダー部は、車輪が3軸の構成なので、新しい構成になっています。 集電は三つの車軸行っており、真中の車軸は上下に弾力のある支持構造となっている。 この集電板は、最近のKATO製品に見られるように、板厚が薄くリブで補強されています。 そして、写真では一瞬左右対称形のように見えますが、同一部品で、2個使いです。
● 2個使いの部品の一つは、ライト基板です。 前と後ろのライト用は、同じ部品を使っていました。 また、ウォーム軸受けを押さえる新設部材も2個使いでした。
● ドローバは押し込んで連結させる方式で、長さが非常に短いですね。
● 動輪押さえは、先台車や従台車とセットになる構造が定着してきていますが、固定はネジ止めを廃止してスナップ式になっています。
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● 先台車は、従来の重さで軸重を掛ける方式から、バネで軽く押さえる方式が定着してきました。
● なお、この車両は、 C56のバック走行を調べる で報告したが、前進走行とバック走行で速度差が発生していた。 このため、動力ユニットを分解する前に、モータの電流値を測定した。 その結果は別のレポートで報告する予定であるが、進行方向によってモータの電流値は大きく異なっていた。 そして、ウォームのスラスト力を受けている軸受は、そのガタの状態から、中央部の軸受けと判断し、この部分の摩擦抵抗の違いではないかと推察した。
● そこで、この部分にオイルを少し注油して、再測定すると電流値の差は殆んどなくなったのである。 再組付け後にもう一度、車両の特性を測定して確認する必要があるが、この他の原因としては、ロッド類のコジレぐらいしか考えられない。
実験レポート: KATOのC56-149号機の断層特性 ( 2013.8.9 追加)
( 2013.7.26 〜 28 分解調査 7.29 記述追加 )
新しい測定装置で測定する。
測定実施: 2020/10/14 重り車両: 11.4(0.1)+65.3(0.7) グラム ()内は走行抵抗です。
測定は上記の状態で測定するが、速度特性測定時はビームカッター車のみを連結する。 また、事前のメンテナンスは実施せず暖機運転のみ実施する。
● 速度特性
● 牽引力特性
今回の測定結果を見ていると、以前とのは別モデル(?)のような印象である。 特に牽引力特性のパターンの違いは理解しがたい。 駆動伝達機構の当たりが付いて来たので、データも安定して来たのかな? また、今回は前照灯を装着した状態で測定しているので、電流値は大きく出ている。
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KATO製とMOCRO製C56の動力特性を比較している。 C56の動力特性を調べる (2012.11.26作成)を参照下さい。 また、このC56-149号機の特性に疑問なあったのでバック走行時の特性を調査したので、C56のバック走行を調べる (2012.11.30 作成)に報告する。
****** 2013.8.9 追記 ***********
次に示す動力特性は、分解調査後に再組付けした状態にて測定したもので、安定化電源を使用した自動測定システムにて実施する。 測定実施日: 2013/8/8
この内容は、「KATOのC56-149号機の断層特性」の実験レポートの中で報告したものと同じであり、内容は重複掲載となっています。
速度特性:
測定は前進走行と後退走行で実施し、同一のグラフ上にプロットしています。 スケール速度の80Km/h を出すには、 6Volt 必要であり、一般的なNゲージよりも遅いと言える。 前後走行での差は無いと言える。 電流は、コアレスモータの特徴で、5〜 20 mA と非常に小さい。前後差はややあるが、その差はわずかである。
以前の測定値より、電流値がさらに低下し、速度もややアップしている。 再組付けが上手なのか、オイル滴下の効果なのか?
牽引力特性:
この特性も前進走行と後退走行で実施した。 前回の測定で見られたような断層状態は認められなかった。 これもオイル滴下による摩擦力の減少と推定しているのであるが・・・・・・・・。
上段のグラフが前進走行で下段のグラフが後退走行である。
上段の前進走行と下段の後退走行での特性パターンの形とバラツキに注目して欲しい。
1) 以前のデータで見られた駆動側と制動側の「断層」は認められない。 これは、正常状態に戻ったと言えよう。
2) 前進走行と後退走行で特性の傾向は同じであるが、特性パターンの形状が微妙に異なっている。 これは何故なのだろうか?
3) データのバラツキ具合や凸凹具合より、走行は後退走行の方が安定している。
分解再組付けによって・・・・・(もっともオイル滴下の効果かも知れない)・・・・特性は改善されたが、内包する構造的要因が有りそうである。 それが何なのかは分からないが、ウォーム軸回りの非対称構造ではないかと推測する。 片持ち構造の軸支持方法とか、軸受部とウォームの噛合い位置とか・・・・・・・・・・。 それが特性パターンの形状が異なっていることにつながっているような気がする。
以前の測定データと比較すると、値そのもには大きな違いは無いようである。 しかし、自動測定システムではデータの数が格段に多いため、特性パターンの特徴をしっかりと表現することが出来ている。 測定技術がここまで向上できたことに満足している。
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● 出力と効率
上記の牽引力測定データを基にして、右に示す様に、出力と効率のグラフを追加する。 2016/11/28 追記
**** 2012.11.26調査時のデータ ******
速度特性:
スケール速度80Km/h を出すためには6.5Volt とやや高めであるが、そのかわり低速域での走行が非常にスムースである。
電流はコアレスモータの採用により、35mA 以下の省エネタイプである。
C56-144号機と比べて速度がやや遅く電流は高目になっている。
牽引力特性:
車両重量が軽い分、粘着領域での牽引力特性不利である。 10グラム以下なのでやや力不足か。 小海線をモデルに小編成向きの機関車と言えよう。
ゼロ負荷近辺で特性に断層があるが、原因調査はまだ実施していない。 機構的にコジレを発生しているのではないだろうか。
このデータは前進走行の状態であるが、バック走行では正常な状態を示している。 C56のバック走行を調べる 参照。