HOME >> 動力車の調査 > モータの特性調査 > 測定データ > KATO コアレスモータ C57-195
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■ 測定方法
ブレーキ方式によるモータ特性測定装置を使用する。 装置への取り付け状態やジョイントの連結方法は、C56 型の測定と同じ方法で実施したので、写真説明は省略する。
なお、右の写真は、回転数測定のためのプーリーがモータ軸と共振を起こしている恐れがあったので、プーリー無しの状態で測定した時の状態である。 回転数センサが使用出来ないため、手動測定となり、電圧は安定化電源のメータを使い、電流はテスターを使って測定した。
■ C57-195 号機の測定データ
モデルの品番 | 2023 |
モデルの品名 | C57 4次形 |
発売時期 | 2014年5月 |
入手時期 | 2014年5月 新品購入 |
分解調査等 | マイコレクション C57 195 |
測定日 | 2016年11月11日 |
このモータの端面には、0720 の番号と角M のマークが記されたラベルが貼ってあった。
上のグラフは速度特性、即ち無負荷回転時の測定データであるが、11ボルトを超えると急に消費電流がアップする現象に遭遇した。 測定ミスではと疑って何度か測定し直したが、やはりグラフに示す様に突然変異していた。 その後、プーリー部分を取り外して測定した時のデータをプロットして表示した。 手動で測定したので、回転数のデータは無い。
グラフから分かるように、プーリーが無い場合の特性はそのまま延長線上を推移しており、プーリーを付けた場合のような異常な電流アップ現象は見られなかった。 原因としては、プーリー部と軸の共振点でプーリーのアンバランスよる加振によって軸が触れ回り、摩擦抵抗が増加したのではないかと推定した。
安定している綺麗なデータを取得出来たが、特性が安定していることを示していると判断する。 消費電流が小さく、低速でもスムースに回転しているのはコアレスモータの特徴のようである。 トルク特性も綺麗に揃っており、素晴らしいデータ、いや、安定した特性のモータと言えよう。
なお、11ボルトを過ぎると急に電流値が増加しているのは測定用プーリー部のアンバランスによる共振現象と判断し、下記の解析には、11ボルト以上のデータはカットして使用した。
■ 特性解析
次に、この測定データを用いてモータ特性を決める定数を求める。 解析方法は、「モータ特性のモデル化 改良版」に示す。 まず6個の定数を求める解析を実施する。
損失トルクのグラフでは、データのバラツキが大きいために決定関数の値が良くない。 データは、無負荷時と負荷時の両方のデータを使用して損失トルクを計算しているが、その絶対値が小さいために測定誤差が影響しているものと推察する。 従って我が測定方法の限界と判断している。 他の項目は理想的である。
この結果得られた6個の定数と、それから計算されたモータ特性のデータを下に示す。
定数の推定値 | 特性線の勾配 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Kt | Rm | λm | Ra | Ke | Eb | Nm-E | I-E | Tm'-Nm | Tm'-I |
473.4 | 0.992 | 0.0000659 | 38.2 | 0.00048760 | -0.009 | 2029 | 0.000282 | -0.006109 | 478.6 |
この計算された特性線を実測データの上に重ねた状態を下に示す。 計算された特性は赤線で示している。
無負荷回転時の消費電流の特性が少しずれてはいるが、他の特性は実測値と計算値がピッタリと一致していることが分かる。 これは推定した6個の定数が実際の値に合致していることを証明していると判断できる。