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小型のターンテーブル式実験装置を作ろう チビ凸用動力ユニット搭載車を測定

 先回、BトレのEF510-501号機を小型のターンテーブル式実験装置で測定しました。そこで、同じ動力ユニットを搭載している他の車両についても測定を実施しました。

 

■ KATOのチビ凸用動力ユニットについて

 BトレのEF510-501号機に搭載している動力ユニットは、コアレスモータとフライホイール搭載したKATOのチビ凸用動力ユニット(品番:11-109)です。この動力ユニットは、ポケットラインシリーズ用の動力として2019年に発売されました。

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 このシリーズの動力は、

  1. チビ客車用動力ユニット  11-110
  2. チビ凸用動力ユニット  11-109
  3. チビ電用動力ユニット  11-108

の3種類ありますが、台車の外観が異なるのみで、内部構造は同じと推定しています。・・・・・・・・分解調査は11-110 だけなので推定です。

 チビ客車用動力ユニット(11-110)については、「たのしい街のSL列車 ※動力ユニット改良品」(2020/8/26)にて報告していますので参照ください。

 また、今回調査したチビ凸用動力ユニット(11-109)については、「物置部屋のレイアウト Bトレ車両を走らせる」(2020/7/13)や、「マイコン式の運転操作台を作ろう コアレスモータ車のレベル設定」(2021/5/5)にて部分的にその様子を報告していますし、室内灯工作も、「Bトレ電気機関車の前照灯の工作」(2021/6/23)にて報告しています。

 動力ユニットには識別のための番号を振ってあります。そして搭載した車体との関係をリストに示します。

動力ユニット番号 車体 車体番号 関連ページ
No. 71 EF510 北斗星色 EF510-501号機 Bトレシリーズ 電気機関車とディーゼル機関車 EF510-501号機
No. 72 EF81 北斗星色 EF81-81号機 Bトレシリーズ 電気機関車とディーゼル機関車 EF81-81号機
No. 73 EF60 EF60 Bトレシリーズ 電気機関車とディーゼル機関車 EF60形
No. 74 EF58 EF58−150号機 Bトレシリーズ 電気機関車とディーゼル機関車 EF58-150号機

 

■ 動力特性の測定結果

 今回、やっと念願の動力特性を4台とも測定することが出来ましたので、まとめて報告致します。下左が、EF510-501号機、右がEF81-81号機です。

 また、下左が、EF60形で、下右がEF58-150号機です。

 なお、内部構造が同じと推定しているチビ客車用動力ユニット(11-110)の動力特性も、測定装置が異なるのですが、上記に示す報告書にて実施していますので参照ください。

 

● 速度特性

 連結棒のガタの具合を見ながらテーブルの回転数を調節して測定を実施しました。牽引力が約2グラム以下となるデータだけを採用しています。

 コアレスモータの特性である低速での安定性と消費電流の少なさがバッチリと出ています。各個体別の特性を比較すると、が、EF58-150号機の電流が他のユニットよりも倍近く消費しています。なんだか変だなと思ったのですが、上記の「コアレスモータ車のレベル設定」において、すでに指摘しておりましたね。

 

● 牽引力特性

 この特性の測定は、供給電圧を一定にした状態で、ブレーキ装置の重りの調整と、クリップ状態にしたり、さらにテーブルの回転数を調整しながら測定を実施しました。

   

   

   

   

 データのバラツキはありますが、パターンの特徴は同じようです。負荷の増加による速度の落ち込みはそれほど大きくないので、小型ながら、粘りのある駆動力と言えそうです。 また、駆動側のスリップゾーンは測定できていませんので、車両の粘着限界ははっきりしません。でも、制動側の限界とお合わせて考えると、Max 8gf 程度と判断します。特に重りの追加などは実施していませんが、2軸動力車であることや、トラクションタイヤを装着していないにも関わらず、牽引力のある動力ユニットと言えますね。

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 EF58-150号機のパターンはやはり異常が認められます。ウォームギヤ部の駆動状態から制動状態に移行する遷移点が認められません。電流特性も同様です。これは動輪とウォームギヤ間の摩擦抵抗が大きいためと推定します。多用しているギヤのかみ合いなどのコジレが発生しているかも知れませんし、オイル切れかもしれません。

 また、チビ客車用動力ユニットの測定結果と比較すると、電流特性のパターンが異なっています。電圧を上げると電流も上昇している・・・・・・・・電気屋さんでは常識なのですが、チビ客車用動力ユニットの測定データではそうなっていません。これは明らかに測定装置の違いのような気がします。あるいは、前照灯の回路の影響かも知れません。今後、検討と検証が必要のようです。

 なお、今回の測定は動力車のモータに直接給電する方式では無く、従来の線路からの給電方式にて実施しています。このため、車両の集電機構の電圧降下が含まれた特性になっています。さらに、電圧と電流の測定部が測定対象物から遠くなってしまっているので、この点も考慮しておく必要があります。

 

■ まとめ

 小型ながら、パワーが有り、かつ静かで滑らかに作動する優秀な動力ユニットであることを改めて認識しました。

 しかし、構造上2軸車両にしか展開できないのが残念です。多くの電車型のBトレ用動力として使用したのですが、ボギー台車形式の車体には無理なのでしょうか。

 

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2023/10/12