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鉄道模型工作室  153系6機種セットの集電回路の工作

 湘南色電車の整備作業の第3弾として、KATO製の153系6機種セットの電装工作を始めました。 最初に前照灯と尾灯の工作実施しましたので、次のステップとして集電回路の工作を実施しました。

 

■ 過去の集電機構の工作内容を整理しておく

 KATO製旧型車両について、その集電機構の工作にはいろいろ四苦八苦してきた経験があるので、最初に整理しておこう。

No 名称 作成日 対象車両 集電機構と主な工作内容 その他
国電155系への室内灯工事 2011/5/5 155系 車軸接触線。燐青銅線バネ。 キット組付品。片輪集電。
スハ44系客車に室内灯を設置する 2013/11/25 スハ44系 集電シュー工作。重り板連通。 シャシー側に爪。
オハ31系の旧型客車に室内灯を組込む 2014/5/15 オハ31系 台車交換。シャシー穴加工。一体式種電板。 シャシー側に爪。
チップLED式室内灯の改良(44系旧形客車) 2015/6/15 スハ44系 集電シュー再利用。 シャシー側に爪。
スハ43系客車の室内灯加工その2 2016/5/11 スハ43系 集電シュー工作。導線連結。 シャシー側に爪。
東海道を走っていた湘南色電車の整備 2020/6/29 155系 台車交換。シャシー穴加工。集電シュー工作。導線連結。 キット組付品。
オハ31系旧形客車の新室内灯ユニットと尾灯 2020/8/18 オハ31系 台車交換。シャシー穴加工。EC用集電ばね6014。 シャシー側に爪。

 集電機構を工作する時、集電可能な台車かどうかが最初のポイントとなります。 上記リストのNo.1例ではバネ線を使った工作でしたが問題もありました。 それ以降はメーカーのAssy部品である集電可能な台車を使用するようにしています。

 次に、台車から電気を受け取る集電シューの機構と、その前後の集電シューの連結通電方法がポイントなります。 メーカーのオリジナル機構は重り板を介しての連通ですが、重り板が古くなると接触不良となり、導通機能が期待できません。 このため、なにがしから工夫が必要です。 そして、今回初めて気が付いて点として、車体を固定する爪がシャシー側なのか、あるいは座席シート側なのかが問題となったのです。 その理由は後程説明ます。

 

■ 台車の集電化

 まず、台車の集電回路を構築しなければなりません。 何しろ45年前の製品ですから勝手が違います。 集電機構のある台車の調査から始めました。 しかし、古いセットなので資料がありません。 そこで、同じ153系の高運転台セットの説明書(Assyパーツ一覧表)によると、DT23とTR58を使用していました。 でも、Wikipedia によると151系がDT23とTR58で、153系がDT24とTR59だそうです。 そして該当する部品をネットで探しましたが見つかりませんでした。

 そこで、手持ちのストック品の中から、在り合わせの部品で対応することにした。 4〜5年前の鉄道模型フェスタで買置きしていた部品は、丁度3台分がありました。 オハネフ12台車TR50(品番:5062-1D)が1台分、オハ35一般形台車TR23(品番:5124-1D)が2台分です。 兎も角も、まずこの3台分を交換することにしました。 TR50はカプラー部分が長いタイプでしたので、先頭車両の前の台車として使用し、邪魔になる応急品のスカートを撤去しました。 見栄えや形式違いには目をつぶって、機能優先とするのが、我が流儀なのです。

 下左の写真にその違いを比較しましたが、ひどい選択ですね。 右の写真は、集電機能付きのTR50とTR23です。

 動力車については、すでに集電機構が組み込まれているのでそのままで良いのですが、残りの2両について迷いました。 昔実施した車軸に導線を巻きつける方法や集電シューの手作りなどを考えながら、ストック箱を漁っていると、GMのキット用として手に入れていた集電シューが目に留まりました。 この部品を台車にあててみましたが寸法が合いません。 しかし、その中の細い形状の部品を見つけ、台車にあててみると何とピッタリだったのです。 慌てて同じ形状のものを探すと丁度2台分ありましたが、何時入手したのか覚えがありません。 このためその素性はさっぱり判りません。

 この部品と台車に組み込んだ状態を下左に示します。 車軸は新しい部品に取り替えています。 ピポット軸部の上側に接触させるタイプなので、少し走行抵抗が増えるかもしれませんが、集電機能は行けそうです。

 台車ごと交換したのが3台分で、車軸交換と集電シューを取付けたのが2台分です。 上右の写真の左側は、交換されて新たにストック品となった部品類です。

 

■ 集電シューの工作

 次に、車体側の集電回路を工作しました。 車体は旧型客車でおなじみの床ボディ方式で構成されているので、集電方法もこれまでの手法を参考にしました。 そして構成に要となる集電シューについて工作しました。 この集電シューについては、上記のリストを参考にしましたが、作りやすい方法としてNO.5のレポートで紹介している折り曲げ方式を採用することにしました。

 また、分解調査の時点では、前例に倣ってストレート形状の集電バネを使って工夫するつもりでいましたが、車体を固定する爪がシャシー側でなく座席シート側だったのです。 このため、座席シートの組付け爪の部分が、集電バネともろに干渉することに気が付き、採用できないことが分かりました。 構造が違っていたのです。 やはり、そのモデルにあった方式にする必要がありました。

 多数工作する必要があるので、治具を作りました。 木切れの板にΦ1.0mm の真鍮棒を位置決めの位置に突き刺したものです。 厚さが 0.1mm の燐青銅板をコの字型に形成するのですが、 寸法は意外と厳しいものがあります。 このため、二つの部品に分けて、これを所定に位置に半田付けするのです。 小片の方が、バネ作用をするベロとなるので、その寸法が重要です。

 治具にふたつの部品をセットし、重なった部分にハンダ用フラックスをたらしてから、例の共晶ハンダを流し込みます。 加熱しハンダが解けると重ねた部分にスーとしみこんでハンダ付け完了です。 なお、この集電シューは左右対称品が必要となるので、治具もそれに対応しています。

 外形の形状や寸法、および反り具合については、実際の車体に組み込む時に調整します。 寸法が少しでも大きい場合には組み込めないので、金切りハサミで修正します。

 

■ 床下部材での回路構成

 床下部材・・・・・・・自分は元が自動車屋ですので、車両の骨格となるシャシーと読んでいます・・・・・・ には、台車を支える軸受部があり、ボギー車の基本構成を形成します。 そして、台車からの集電端子を受けて、前後の台車間について、車体内に配線する集電回路も形成する必要があります。

 今までは、導線を使って連通させていましたが、今回は薄い銅板を使ってみました。 久宝金属製作所製の ミニ粘着銅 で、厚さが0.1mmのものです。 サイズは255x300 mm を使っています。 裏面には接着剤が塗布されているので、ハサミで形状を切り取った後、ペタリと貼り付けることが出来ます。

 左の写真の上側は、最初に工作した作品です。 集電シューの部分は矩形に切出した厚さが0.1mm の燐青銅バネ板で、これを銅板とハンダ付けしています。 しかし、ハンダ時の熱によってシャシーの裏側が変形してしまいました。 台車の動作には影響はなのものの、樹脂部品が変形するのは良くないので、この方法はNGとしました。 でも、もう後の祭りですね。 安易な考えでの不用意な工作で反省しています。

 このため、上記のような面倒な工作によって集電シューを作るようにしたのです。 この場合の工作状態を左の写真の下側に示します。 重り板の位置決めのピンが邪魔をしているので、変形を余儀なくされていますが、薄い銅板なので、右の写真のように、への字に真が曲げて接着するようにしました。 ことらの方がすっきりです。

 これで、重り板が汚れていても通電には影響しないと考えます。

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 さて、次はいよいよ室内灯の工作ステップに進みましょう。

 

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 2022/8/20 作成