HOME >> 鉄道模型実験室 > 新しいテープ式室内灯 集電瞬断に対するコンデンサの効果
室内灯チラツキの原因である集電回路の遮断状況について、データの収集方法とその解析方法を模索していいる。今回はこの方法を用いて、コンデンサの効果について観察した。
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■ 実験装置の概要
今回の観測結果の観察にあたって、使用した実験装置の内容を理解しておく必要があると考えて、以前に報告した内容を再掲載してみました。
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実験装置は、上左の写真のように小型のターンテーブルを使用しています。この線路の上に小型の客車を走らせておき、その集電回路を使って線路からの集電状態を観察するものです。
線路には、上右の写真にしめす安定化電源からDC12voltの安定した直流を供給しています。そして、、集電された電気を細いポリウレタン線を使ってテスト用ボードに接続し、その時の電圧と電流を観測します。観測は上右の写真に示すオシロスコープにて観察とデータ保存を実施します。
テスト用ボードの回路構成を右の回路図に示します。そして、A部品は電流制限部品を接続し、B部品はコンデンサを接続します。
オシロの接続部とチャネルも図中に示します。CH1は、車輪からの供給電圧を計測し、CH2は、テープLEDを流れた電流を測定するためのシャント抵抗の電圧降下量を測定します。ブリッジダイオードはショットキーバリアダイオードを使用しているため、ダイオードの逆回復時間をほぼゼロにすることが出来る。このため、集電回路が切断された時、逆流防止機能を瞬時に働かせて、出力側、即ち、コンデンサのある側とは瞬時に遮断されます。このことは、コンデンサの存在が、集電回路の瞬断状況に影響しないことを示唆します。即ち、CH1の電圧を観察すれば、集電回路の状況を把握できることになります。
測定されたデータは、「集電瞬断の解析方法の模索」(2024/4/15)に示すPythonのプログラムを使用してデータ処理を実施し、「集電瞬断の解析2」(2024/4/15)の方法でグラフ化している。
■ 電流制限部品として抵抗を使用した場合
まず最初に、電流制限部品として抵抗は使用した場合をまとめました。使用したテープLEDは、COB型の5volt仕様の10cm長さの物ですので、電流制限抵抗として510Ωの抵抗を使用した。測定は時間スケールを 250msに設定して実施した。
ここで、ンデンサの効果を観察するために、いろいろな種類のものを使って測定を実施した。その結果を下に示す。 左側の画像はオシロ画面のハードコピーを示す。黄線はCH1を示し、ブリッジダイオードの入口の電圧を示す。青線のCH2は、LEDを流れた電流を計測するシャント抵抗( 51.5Ω )の電圧降下量を示す。
中央のグラフは、電圧を示すCH1のデータと、電流を示すCH2のデータを生データの数値そのままでグラフに示しました。右のグラフは解析した結果を示す瞬断の頻度のグラフです。
コンデンサ無し チラツキ有り | |
10μF セラミックコンデンサ 少しチラつく | |
47μF チップコンデンサ チラツキ無し | |
100μF 電解コンデンサ チラツキ無し | |
コンデンサの容量が増加するに従って、LEDに流れる電流が滑らかになり安定している、即ち、安定して光っていることが分かります。これはコンデンサの蓄電効果に他ならず、コンデンサを使用するメリットなのです。そして、コンデンサは、瞬断時の谷幅よりも、谷の深さを浅くする効果があることが分かります。原理的には当然ですね。納得です。
■ 定電流素子CRDを使用した場合
次に、電流制限部品として定電流素子(CRD)を使用した場合を見てみましょう。今回使用しているテープLEDの光り具合に合わせて、18mA仕様の E-183 を使用しました。
コンデンサ無し チラツキ有り | |
10μF セラミックコンデンサ 少しチラつく | |
47μF チップコンデンサ チラツキ無し | |
電流・電圧特性は、抵抗使用の場合と明らかに異なっています。「チップコンデンサとCRDの特性調査」(2024/2/29)参照。上記のグラフにも明確に表れています。
このことは、回路が遮断されそうになって電圧が少し下がっても、電流値はそれほど変化しないという事が言えます。そして、電流波形を抵抗を使用した場合と比較してもより滑らかになっていることからも推察できます。上記の解析結果からでは明確に判明しませんでしたが、容量の小さなコンデンサでも影響が大きいのでは無いかと考えています。
■ まとめ
LEDのための電流制限部品として、抵抗とCRDを比較した場合、CRDの方がチラツキ対策には有利であることが分かったが、問題はその仕様の種類が少ない事です。これは、使用するLEDに対して、微妙な明るさ調整が出来ない事を意味しています。この点、抵抗部品は細かな値を選択できるのです。
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今回の観察は、あくまでターンテーブル上の線路と車両に於ける、その時のある状態の場合の観察結果である。 従ってレールの汚れがさらに進行した場合など環境が悪化した場合は、チラツキの程度が悪化するのは当然である。そして、どの程度の悪化なのかを判断する尺度はまだ持ち合わせていないのだ。
容量の小さなコンデンサでもそれなりの効果があることが今回確認できたが、線路の汚れと搭載したコンデンサの容量とはトレードオフの関係にあることは明らかである。線路などのメンテナンスをサボリたければ大きな容量のコンデンサを搭載すれば良いのであり、小さのコンデンサの場合は、頻繁にメンテナンスを実施する必要があることなど、当然と言えば当然な結論となるのだ。
その程度は? どのくらいの容量のコンデンサを使うと室内灯のチラツキは防止できますか?
との質問に対しては、ご自分の環境でチェックするしかないのです・・・・・と言う無責任な結論なのである。
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2024/4/24