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登山鉄道 新自動運転システム 運行不具合の対応

■ はじめに

 半年ぶりに登山鉄道の自動運転を作動させてみた。 すると運行パターンが正常に作動しないことが判明した。 運行途中で止まってしまうのである。 電車の本数を変えても同様であり、運行シーケンスが先に進まなくなってしまうのである。 そこで、原因究明と対策案を工夫してみた。

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■ 不具合内容の把握

 この路線の線路とポイントの配置を右のイラストに示す。 運行状態の観察より、P1とP3のポイントの作動がおかしい事が判明した。 定位から反位には作動するが、反位から定位には戻らないのである。

 そこで、ポイント操作を手動駆動の回路に変更して確認すると、すべてのポイントは正常に作動したので、原因はポイント駆動回路にある事が分かった。

 なお、手動操作のための回路は「新自動運転システム 制御回路の検討」や「新自動運転システム 電子回路の製作」、「電気回路の動作チェック その1」を参照ください。 設定していた端子に、KATO製のパワーユニットとポイントスイッチを接続して操作を行った。

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 ポイントの駆動回路が不良と見たので、ポイントを操作するだけのスケッチに修正して作動させてみた。 するとやはり、P1とP3のポイントおいて、定位から反位には作動するが、反位から定位には戻らないことが確認できた。

  さらに、テスト途中からP1のポイントは正常に作動するようになり、なぜだか復活したのである。 これはと思って、暫く繰り返して作動させていたが、P3は復活しなかった。 慣らし運転とは行かないようである。

 そこで、その様子を観察するためにオシロで電圧波形を見ることにした。

 

■ オシロによる電圧波形の観察

 ポイント駆動回路の電圧は、瞬間的な波形を呈するため、その状態をチェックするためにはオシロが必要である。 そこで、リレーの入力端子とコンデンサの両側端子の状態を測定することにした。 測定部位は上の回路図に示した箇所の電圧を入力させ、その観察結果を下の表にまとめた。

測定部位 ポイント 定位から反位へ 反位から定位へ 観察メモ
CH1 CH2
(ハ) (ロ) P3

反位から定位に戻る時、不具合が発生しているP3でのコンデンサのプラス側(ロ)の充電が極めてゆっくりである。
このため、コンデンサのマイナス側(ハ)は充分に応答していない。


一方、正常なP2では(ロ)の電圧は急峻に上昇している。 このため、コンデンサのマイナス側(ハ)はそれに応じて充分に応答している。

P2
(イ) (ロ) P3 リレーの入力部である(イ)の信号は、いずれも正常に作動している。
P2
(イ) (ハ) P3 入力信号(イ)に対して、ポイント駆動のための出力部(ハ)の応答は、やはり、不具合が発生しているP3において、反位から定位に戻る状態だけに発生していることが分かる。
P2  

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 この波形観察により、不具合のあったポイントP3の不良状態を把握することが出来た。

 原因は、コンデンサプラス側の充電速度が遅く、その結果、ポイントを駆動するに十分な電圧が発生していない。 その結果、ポイントのコイルには充分な電流が流れていない。 これは、反位から定位に戻る時だけに発生し、定位から反位に移行する場合は、正常に作動する。 では、なぜそのような現象になるのだろうか?

 

■ リレーの交換

 取りあえずリレーの不具合と判断して、ストック品と交換することにした。 この場合、再度交換作業が発生するかも知れないと判断して、ICソケットを使用してリレーを取り付けることにした。 右の写真。

 基板修正後に作動チェックを実施すると、ポイントは両方向とも正常に作動するようになり、原因はリレーの不良と判断した。 そして、基盤類をもとにもどし、意気揚々と試運転を実施したが、期待は見事に外れてしまった。

 そのテスト走行動画を下に示す。 ストック品に取り換えてP3のポイントは正常に作動しているが、テスト中に復活したと思っていたP1ポイントがやはり動作不良になってしまったのだ。

 

■ リレーの端子抵抗を測定する。

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 やはりもとになる原因を把握する必要があるとかんがえ、取り換えたリレーの端子抵抗を測定してみることにした。 この試みは正解であった。 右の写真。

    不良品の端子間抵抗は、なんと 1.3 KΩもあった。 

 正常なストック品では、0.00 Ωである。 そこで推察した原因は、 接点の溶解(?) により、接点抵抗が増加したためにコンデンサへの充電に時間が掛かってしまったのだ。 反対側の接点は端子間抵抗は未測定であるが、作動は正常であるためことより、瞬時に放電されるて正常に作動していることも理解出来た。

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 では、何故このような接点不良が発生してしまったのだろうか? 接点の融着が原因とするならば、過大な電流が流れたと判断すべきであろう。 そこで、幾つかの原因を上げてみた。

 1) コンデンサの容量を大きくしすぎた。
パワーアップのために3300μFのコンデンサを追加しているのが間違いであったかも知れない。
 2)回路の不良
採用した回路は、通常でもコンデンサのプラス側に電気が蓄電される回路構成であった。 いつも愛読している「Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記」のブログによると、コンデンサの常識的な使用方法として、常時蓄電される回路構成は、コンデンサの耐久性の上で避ける様にとのアドバイスがある。 今回はコンデンサの耐久性の問題ではないのであるが、電源の ON/OFF 時にはこのリレーの接点を通して、常に電流が行ったり来たりしていることは明らかである。 これが原因で接点が溶解したのかな・・・・・・・・?
 3)リレーの信頼性不足
使用したリレーの信頼性が不十分であったとも考えられる。 何しろOMRON 製より一桁も安価であったのだ・・・・・・・・。

 使用していたリレーは、HSIN DA PRECISION CO., LTD.製で、12V小型リレー 接点容量:2A 946H−1C−12Dである。 HSIN DA(シンダ)プレシジョン製 高感度小型パワーリレーとあるので、一応はパワーリレー用のようである。 主な仕様として、  コイル電圧:12V、 コイル抵抗:720Ω±10%、・接点:1C接点(1回路C接点)、接点容量は、 2A:30VDC である。 そして、秋月での価格は、1個 ¥60(税込)であった。

 使用していたACアダプタの仕様は、12V 1.25A であったので、2Aのパワーリレーなら大丈夫と判断していたのであるが、素人考えであったのだろうか。

 

 高価なOMRON製に変更するには回路をかなり変更する必要があるので、上記(1)と(2)の対策を実施する事にしよう。

 

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 2019/1/20 作成