HOME >> 鉄道模型工学 > 測定項目の追加 有線通信のための工作

鉄道模型工学  測定項目の追加 有線通信のための工作.

  .

 8字型レイアウトでの自動走行が出来るようになったので、次に通信線のための工作を実施した。

  .

 

■ 有線通信のための道具たて

 まず、ホームセンターにて園芸用品コーナーなどから右の写真のような部品を調達した。 そして測定台の上部で自由に揺動出来るように竿の工作をした。 摩擦抵抗を嫌ったので、支点部分もクリップを使って引っ掛ける様にしている。 揺動する竿の重量バランス取りと、有線のたるみを防止するため、竿の反対側には輪ゴムをつかって引っ張るようにしている。 なるべく張力が小さくなるように輪ゴムはいくつもつなげて長くしている。 即ちバネ定数を極めて小さくし、竿はゆらゆらとゆっくり動くようになっている。

 この竿の支柱は、測定台の下側に差し込めるように台を作り固定するようにした。 使用しないときは折りたたんで測定台と一緒に壁側に立てかけておくようにした。

 

 

 支柱類が完成したのでさっそく試運転を実施して、思惑通りの機能を発揮できるかテストを実施した。 模擬配線として、ありあわせの電線を動力車にセロテープで張り付け(下の写真)、 この配線をワイヤーでつるして走行させた。

 実際の走行状況を動画にしたので、ご覧下さい。

 

 簡単な細工なのに、思惑どおりの動きをしてくれた。 特に、竿がヨットのブームのように自由に動いていたのには、自分でも感心しながらズーと見とれてしまっていた。 支柱の位置は測定台から少し離した方が調子はよかった。 また、配線の捩れも、当然ながら発生していない事も確認でき、今回のプロジェクトの先が見えてきたように思えた。                             ************  有線通信線のための支柱と竿の工作 (2016/1/25) を再編集 ********  

 

  .

■ 有線通信のための信号ユニット

 走行する動力車から、そのモータ回転とモータ端子電圧の信号をメインの測定処理ユニットに送信するための回路を検討した。

 モータ回転数を計測するパルス信号は、Arduino に直接入力させ、測定ゲートを通過している時間内でのパルス数を割り込み処理によってカウントする方法とした。 このため、割り込み処理が出来るデジタル端子D2 に入力させる。

 また、モータ回転の検出は、小型の反射型フォトセンサ GENIXTEK CORP.製のTOR-105F を今回も使用する。 そして、回転のパルス信号をプルダウン回路を使って Arduino のデジタル端子D2 に入力させる。 右の回路図参照。

 モータからのパルス発生状態を目視でも確認するため、LEDを点灯させようとしたが、パルスが速すぎて連続点灯となってしまった。 このため、点滅のサイクルを減少させために、やはりカウンタICが必要になってしまった。 LED電子工作で使ったICの中でストック品として残っていた14ステージバイナリカウンタ SN74HC4060N を使用したが、少し豪華過ぎる気もする。 また、その設定数を選択するDIPスイッチを使うことにしたが、間違えてスイッチを2ヶ所ONにするとICの出力ポート間を短絡させることになり、ICを破壊させる心配が有ったので、ICとDIPスイッチ間に抵抗を挿入して置く事にした。

 作成した基板を上に示す。 いままで使用してきたメインシールドの上に重ねて設置出来るように、両面基盤を使用して工作した。

 

■ 有線配線の工作

 動力車から測定ユニットまでを配線する通信線を工作した。 回転センサ線には、小型の反射型フォトセンサを2mmピッチの基板の切れ端に取り付け、4本のポリウレタン線( 線径 0.2mm )でセンサの足に半田付けしている。 線の長さは約30cm である。 ポリウレタン線の導線抵抗は0.8〜0.9Ωであった。 センサ線の他端には、4本のオスのピンヘッダを取り付けている。 電圧測定線は、厚さ0.3mmのリン青銅板の切れ端にポリウレタン線を半田付けし、2本のオスピンに接続させている。 半田付け部は、ポリウレタン線の保護と半田付け部の絶縁のために熱収縮テューブを使って保護している。 この配線は、測定する動力車に合わせて取り付け工作が必要となるので、短く設定してある。

 この信号線と信号ユニットまで配線する部分は固定的な配線とし、今回の有線方式のメインパーツである。 下の写真。 軽くて柔軟である必要があると考え、電圧測定線と接続するラインはタミヤ製1.5A平行コード#360(0.08mm×30芯)を使い、センサ線と接続するラインは細くて3本構成のTOMIXのセンサ線を切り取って使用した。 これらは6個からなるメスのピンヘッダに接続している。 なお、反射型フォトセンサからは4本の配線が来ているが、赤外線LED 用のプラス線は、220Ωの抵抗を挿入して、フォトカプラ用の電源線かば分離させているので、このヘッダ部分からは3本で良いのである。

 信号線の他端は、サブシールド基板に設けたメスのピンヘッダに挿入出来るように、2本と3本の別々のオスのピンヘッダを取り付けている。 この信号線の長さは、225cm あった。 TOMIXのセンサ線を使った線の両端間の導線抵抗は、0.8Ωだったので問題無いと判断する。

 

■ 装置への取り付け

 動力車に取り付けたセンサ部分と、信号線の接続状態を下に示す。

 ユニットと配線状況を下に示す。 今回作成したサブシールドをメインシールドの上に重ねた状態である。 配線は、測定台に設けた穴を使って台の下側を通している。 多くの配線がゴチャゴチャして来たので、誤配線を恐れて接続絵図を近くに張り付けています。

************  有線通信のための信号ユニットを作る (2016/2/2) を再編集 ********   

 

  .

■ 傾斜角測定の再校正の実施

 傾斜角計は、ゲートの位置変更によって干渉することになったので、位置を10cm 近く移動しているので、再校正を実施した。 傾斜台の側面の左右に十字線を罫書き、スケールで床からの高さを測定すると同時に、シリアルモニタに表示された “angle” 値を読み取っていく。 測定時の様子を右に示す。

 今回延長した測定台の下側のスペースを利用して、ACアダプタの整理してコンパクトに設置した。 5、7.5 、9、12 ボルトの4個のACアダプターを6個口のコンセントに接続している。 このコンセントはアダプタの差し込み口が180°回転するので、幅の広いアダプタでも隣り合わせで差し込めるのである。 なお、新設したアダプターの内、12ボルト用は新規に購入したが、7.5ボルト用は、昔使っていたプリントサーバー用の電源を再利用している。 最近の機器はいろいろな電圧のACアダプターを使っているので、機器本体が使えなくなってもアダプタは再利用のために残しておく場合が多い。 電流容量に注意しながら、発熱発火の心配の無い場合に再利用している。

 これらのデータをEXCELに転記して、傾斜勾配と angle の数値をグラフ化して直線近似させて、その数式を求めた。 そのグラフを下左に示す。

 

■ モータ端子電圧を測定する回路の校正

 次に、新しく回路を組んだモータ端子電圧の測定回路の校正を実施する。 下左の写真に示す様に、電圧測定用端子をゲート部分の線路に差し込んだリン青銅片とクリップで挟み、レールと接続する。 電圧測定線は、工作した信号線を介してArduino に接続する。 一方、クリップ線の他端はテスターに接続し、電圧値を読み取っていく。 下右の写真。 電源電圧からレールに電力を供給している状態で電圧をセットし、ゲートのスリットを手で塞いでArduino にアナログデータ(mvolの値)を読み込ませる。 この時のデータとテスターの示す電圧値を読み取って、EXCELでグラフ化したのが右上のグラフである。 このプロット点を直線近似させた時の数式が電圧の換算式となる。

 

■ 電源供給ラインの電圧降下について

 上記の実験に合わせて、ゲート部でのレール電圧と実際に電圧を測定する電圧測定部との電圧降下量をチェックすることにした。 下左の写真に示す様に、電源からレールに電力を供給するラインが複雑化するとともに、長くなってしまった。

 モータ端子電圧の測定は、動力車が測定ゲートを通過中に測定しようとしているが、この時の動力車の電圧降下量を計算するためには、その時のレール面の電圧を正確に計っておく必要がある。 しかし、現在の状態は、写真に示す電圧測定部で測定した値をレール面の電圧として計算しているので、測定点の違いによる誤差の影響は免れない。

 特に今度の構成では、線路の途中にTOMIXのポイントが含まれているため、大いに心配している。 また、動力車の消費電流が大きい場合には、電圧降下量は大きくなるはずである。 そこで、動力車を走らせながら電圧測定部と測定ゲート部での電圧値の違いを測定することにした。 簡便な方法として、電圧測定部の近くに接続している電圧モニタと、安定化電源で表示している電流値、およびレール面での電圧値をテスタで読み取る方法で実施し、そのデータを下に示すグラフにまとめた。 

 測定は動力車がゲートを通過している時の値を読んでいるが、テスタで表示しているレール面での値が一番変動していた。 このため、読み取りの不確実さもあるが心配していた通りに、電圧降下量は無視できる値とは言い難い結果となった。 電流を流していない状態で実施した前記の測定では、データの違いは 0.02ボルト程度までであったので、測定器の違いとは言えない。

 100〜200mA の時に 0.15volt の電圧降下が発生しているということは、約1Ωの抵抗が有ったという事であり、抵抗としては僅かであるが測定の目的からすると影響度合いは無視できないと判断する。 次にこの改善案を報告する。

************  試験走行のための準備 (2016/2/2) を再編集 ********