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鉄道模型工作室  鉄コレ電車の電飾を工作する その4

 先回、鉄コレ電車の電飾工作を実施しましたが、その第4弾としてモ 1031号機に室内灯と逆点灯防止回路を組み込んだ前照灯と尾灯の工作を施すことにしました。 今回のテーマは、4灯式の室内灯と尾灯ユニットの改善です。

 

■ 15m級電車 モ1031号機の工作

 工作対象は、室内灯が未工作であったモ1031号機を弄ることにした。 室内灯が未工作の鉄コレ電車はまだ何台か在るが、工作済みである12m級のモ1033号機との2両編成ができるように配慮したからである。 「単・短編成電車類 リスト」参照。 この車体は色は異なっているのですが、同じフリータイプの電車であり、車体番号も連番になっているのです。 そして、鉄道会社のマークは同じマークなのです。 そうです、富井電鉄・・・・・・TOMYTECの電車なのです。

 この電車は、週刊Nゲージジオラマ製作マガジン「昭和の鉄道模型をつくる」に付属されていた車両で、車体は15m級です。 昭和20〜30年代をイメージした茶色のフリータイプ車両で、1両でコトコトと走るミニレイアウト用車両である。 できれば一両で走行できるように、前後の前照灯と尾灯を付けたいのであるが、面倒なので片側だけに装着して2両編成で走らせることにしました。

 

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● 尾灯ユニットの改善

 先回の工作でほぼ満足のいく工作ができたが、光の透過と厚みに不満が残っていた。 そこで、不透明な樹脂板である黒い硬質塩ビ板を使用した。 厚さが 1.0mm の板を切り出し2枚重ねで使用する。 その構成を右のイラストに示す。

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前方の板は光ファイバーを案内するためのものであり、車体に開けた穴と共加工して、位置をぴたりと一致させておく。

 2枚目の板は、チップLEDを保持するための板で、1608サイズの赤色LEDのチップ部分が穴に収まるように大きめの穴を開けている。 さらに、左右のLED用として別体としている。

 この二つの板は、塩ビ用専用に接着剤で固定しておき、周りの形状をやすりやカッターを使って整形しておく。

 先回、問題となったのはチップLEDの取り付け位置が決まらなかったのであるが、その原因は、半田がチップの表側まで回り込み、チップ部分の凸部を使った位置決めができなかったからであった。 そこで、半田が表側まで回り込まないように、左のイラストの様に半田工作用の治具(?)を作った。 昔間違えて注文していた無垢のガラエボ基盤にφ1.2mmの穴をあけ、ゼロテープでチップの片側を止めて半田付けを実施するようにした。 こうすると、チップの表側までは半田が回り込まないのであった。 その時の工作の様子を下左に示す。

 ポリウレタン銅線を半田付けしたのち、尾灯基盤にセットするときも、その位置がぴたりと決まり、LEDの光は前方の穴から綺麗に投光されているのが確認できた。 下右の写真では、裏側も光っているがこれは最後に固定と遮光を兼ねてパテを塗ってしまうので問題ありません。

【 注意事項 】
 今回も左右の尾灯のために二つのLEDを使用しています。  この時、直列接続とするのか、並列接続とするのかの選択が必要でした。 並列接続の場合はLEDの特性のバラツキによって流れる順電流の値が違ってくる恐れがあります。 その結果、明るさに違いが発生するのです。 この現象を避けるためには直列接続にする必要があるのですが、すると順電圧が2倍になってしまい、常点灯機能が疎外される恐れがあるのです。  今回もテスト点灯させて、明るさの違いは無かったので並列接続としました。 ただ、チェック時の電流値はもっと小さくする必要があったようで、今後は注意することにします。
  なお、マルツのホームページに「LED基本ガイド LEDの基礎を詳しく解説」として、LEDの使い方が説明されていますので参考とさせていただきました。 

 

● 前照灯の工作

 前照灯については、先回報告した時に工作したものを使用しました。 車体の裏側に足を広げた状態にし、車体の穴の周りをパテで埋めました。 使用したチップLEDは、ウォームホワイト色チップLED OSMW1608C1A です。

 

● 室内灯の工作

 鉄コレ独特の透明なスチロール製の窓部材についても先回と同様の工作を実施しました。 しかし、室内灯については間接照明の効果はあまりなかったので、従来通りの屋根裏に張り付ける工法としました。 そして、チップLEDの個数を4個に増やしました。

 この時、4個目のLEDと直列に接続する抵抗値を新たに計算しました、明るさを少しおさえるため、LEDに流れる電流を 1.8mA に設定しようとするものです。  「テープLEDを使って4灯を点灯させる」(2021/12/10)の考えと、「テープLEDの特性を数式化しよう」(2021/12/12)で求めた特性式を使って、最適な抵抗値を計算しました。

 3連と単体に同じ電流 I を流すとすると、

        Es = 0.204・I + 8.39

        Et = 0.024・I + 2.76 + R2・I

 Et = Es とし、I = 1.8mA とすると、上記の二つの式より、 R2 = 3130 Ωと計算されます。  また、電圧関係は、

        12.0 volt = 2・I・R1 + Es

 だから、R1 = 1003 Ωと計算されます。 そこで、手持ちのチップ抵抗を使って、R1 = 1.0K Ω、R2 = 3.3K Ωにて回路を構成することにしました。

 4灯にしたので、長さを確保するためにテープ部分を基盤の裏側までもぐりこませました。 そして絶縁テープを貼ってショートを防止しました。

 点灯テストでは、4灯ともに綺麗に光っていました・

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● 動力部の工作

 この動力ユニットは、モータ部分が上に大きく飛び出していますので、低く抑える工作も実施しました。 その方法は、「鉄コレ電車の室内灯・前照灯・尾灯の工作 その1」(2021/3/24)と同じです。

 工作結果を右の写真に示す。 重りとなる部材がなったので、鉛の板をアーチ形曲げ、足の部分にショート防止の絶縁テープを貼って取り付けました。 下左の写真。 

 

● 各部品の組付け

 必要な部品が揃ったところでそれらを車体に組込みます。 室内灯とそのユニット部分を下に示します。

 前照灯と尾灯の取り付け状態を下左に、窓部材を組付けた状態を下右に示します。 尾灯ユニットがコンパクトなっています・・・・。 よっしゃー!

 動力ユニットと車体を接続した状態です。

 リタッチを実施して工作は完了です。 窓からはモータ部分が見えますが気にしないことにしています。

 

■ 編成と走行テスト

 すでに工作済みの12m級 モ1033号機と連結させ、富井電鉄の2両編成としまいた。

 新登山鉄道レイアウトにて点灯テストを兼ねて走行テストを実施しました。 

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 先回の工作と同様に、室内灯と尾灯は、走り出す前に点灯しますが、前照灯は走り出してから点灯します。 常点灯機能は半分不合格ですね。 常点灯機能は多少犠牲にしても、逆点灯防止機能を優先させた結果でもあるので、このままの状態で合格としました。

 今までの工作品を含めて、3編成を運行させている動画を紹介しましょう。

 逆点灯防止対策を実施していない車両は、チラチラと点灯しているのが分かります。 しかし、対策品は逆に常点灯機能が無くで、電車が走り出してからヘッドライトが点灯する状態です。

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 逆方向のライトがチラチラしていたり、走り出してから点灯したり、不均一に光る室内灯など、工作の出来栄えについてはあまり気にしないで、工作することに楽しみを見出しているのが、後期高齢者の工作なのだ! と納得することにしています。

 

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 2022/4/29 作成