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鉄道模型実験室 No.252  小型のターンテーブル式実験装置 クラッチ制御方式の復活

 小型のターンテーブル式実験装置を作りました。しかし、制動領域でのデータ飛びが発生してしまい、その対策として電流制御方式を検討しましたが結果不良につき却下しました。次なる対策として、昔のクラッチ制御方法に注目して実験を実施しました。

 

■ クラッチ制御方式の復活

 先回の実験により、モータの電流は負荷に応じて流れるものであり、「暖簾に腕押し」の格言を実感した次第です。過大電流防止などの機能は設定することができるのですが、腕の力、即ち電流を自ら積極的に制御しようとすることは、この格言のように無理なのだという事です。あくまで負荷に対応した電流しか流れないのです。

 この間違いに気が付いて思い出したのが、以前検討したクラッチ制御なのです。「小型のターンテーブル式実験装置を作ろう またも壁が!」(2023/10/7)にて諦めていた方式です。この時は、大きな力を制御できなかったので却下した機構ですが、今回の課題では、そのような大きな力は必要ないのです。テーブルと駆動時の間に、クラッチの滑り状態を設け、クラッチに掛ける加重を変化させて伝達するトルクを制限し、結果としてテーブルを回転させる負荷を調整しようとするものです。

 早速、ストックさせていた部品を持ち出して組み立てました。

 駆動軸に固定したクラッチ盤の上に、受け側のクラッチ盤をかぶせ、その中央部を押し付けるレバーをかぶせます。そしてそのレバーの上に重り載せて、その位置を変えながらクラッチ盤の荷重を調整しようとするものです。これによって回転するテーブルの負荷を調整できるのです。

 さらに、上下のクラッチ盤を目玉クリップで挟んでクラッチを固定してしまうと、ダイレクトに力を伝達させることが出来のです。

 この簡単で幼稚な機構ですが、その効果を確かめてみましょう。

 

■ ED29-2号機での実験

 先回の実験で使用した車両のED29-2号機で実験してみました。

 結果は狙いどうりでしたね。実験結果を下のグラフに示します。

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  グラフに示すように、先回、データ飛びが発生していた部分でも測定できていることが分かります。

 測定は、牽引力が -1グラムから -4グラムの部分はクラッチ制御を生かして測定しています。 +3 グラム以上ではPWM制御を使用しました。それ以外の領域は抵抗制御で実施しています。

 また、別の車両でも実験してみましょう。

 

■ スハ35-3号機での実験

 同じモデルの動力台車を使用しているスハ35-3号機についても測定しました。この車両は、マイコレクションの「蒸気機関車シリーズ 小型蒸気機関車」や「小型蒸気機関車と補助動力車」(2021/7/21)にて紹介しているように、隠れ補機として使用している客車ですので、動力車付き車両なのです。

 この車両において、動力特性の測定は初めてだったので、速度特性も測定した。その時の様子を上に示す。クラッチ部分を開放してテーブルが自由回転出来るようにして測定しています。

 

● 速度特性

 Bトレ用の動力台車なので、在来線の電車、特急電車、さらには新幹線用の車両に適応させるため、広い範囲の速度特性を持たせている。

 また、消費電流も20mA前後とBトレ動力車としては最も小さい部類で、コジレや摩擦の少ないモデルと思われる。

 さすがにKATO製であり、特性はバラツキが少なく安定している。

 

 

 

● 牽引力特性

 駆動領域におけるスリップゾーンでも、低速部分まで測定することが出来ている。その時の牽引力は6グラム程度で、重り追加による効果が出ている。

 制動領域における遷移点を過ぎたあたりでのデータも、きれいに取得することが出来ている。この領域でのデータはクラッチ制御方式で測定しているが、5ボルトの場合は抵抗制御方式のままで測定出来ました。

 即ち、特性の傾きによってデータ飛びが発生していることも確認できたのだ。

 

■ まとめ

 この小形のターンテーブル式実験装置ですが、やっと、目標とする牽引特性の全域を測定できる方法を見つけることが出来ました。諦めずに工夫すればできるものなのですね。満足満足!

 動力特性が未測定の小形動力車はまだいくつか残っていますので、これを機会に実施していくつもりです。

 

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 2024/10/21