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モータの測定データ TOMIX 製電気機関車

 

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■ 測定方法

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 ● 測定対象シリーズ
TOMIX 製の電気機関車についてフライホイール持つモータを搭載したモデルのモータ特性を測定した。 自分のコレクションは、主にKATO製なのでTOMIX 製のモデルは少ないが、それでも3台所有していた。
 
 
 ● 測定装置
モータ特性を測定しよう その7  出来た」で報告した装置を使用する。
 ● 測定方法
右の写真に示すようにモータを測定台に固定し、フライホイールの外周からトルクを取り出した。 モータを固定する時に無理な力が掛からに様にするため、モータホルダに収めた状態やモータを直接サブのプラ板にセロテープで止め、そのプラ板を測定台に固定している。 モータの一方のフライホイールには糸をかけてモータトルクを測定し、他方のフライホイールには白のマーキングを付けて回転数を計測する。

 下記にそれぞれのモデルの測定結果を記載する。 順番は、品番や発売時期から推定した年代を想定し、なるべく古いものからリストアップしている。

 モータの写真は製造時にモータ外套やマグネット部分に付与されたマーキングを記録するため上下の面を撮影し、さらにモータホルダーに装着した状態で撮影している場合もある。 また、今回から「モータ特性のモデル化 改良版」で報告した解析方法での結果も同時に記載するようにした。 そして、機械系と電気系の損失(?)を示すと思われるグラフもここに記載しておく。

 

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■ EF510-4 号機

モデルの品番 2169
モデルの品名 JR EF510形電気機関車
発売時期 2005年
入手時期 2015年4月 中古品購入
分解調査等 マイコレクション EF510-4
動力車の調査 未調査

 

 

モータの体格 φ12.0×10×15.5 全長 38.0 フライホイール φ8.0×5.0
トルク定数 Kt
283.9 gf-mm/A モータ軸摩擦トルク Rm
15.18 gf-mm モータ軸損失速度係数  λm 0.0000815 gf-mm/rpm
巻線抵抗  Ra 12.4 Ω 逆起電力定数 Ke
0.000352 volt/rpm ブラシ部電圧降下  Eb
0.271 volt

 電流・電圧特性におけるデータのバラツキは、車両での測定結果でも同様な傾向が見られる。 そして測定中でも電圧の中間部でカリカリという共振音(?)がしていた。そして、モータ軸損失トルクのグラフを見ると機械的な原因の様にも思える。 一方では、ある程度運転後に安定するので、モータの発熱に関係するのではないかと推定するも定かではない。 なお、負荷状態でのトルク特性は安定した性能を示している。 低速での粘りも良好の様である。

 

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■ ED75-710 号機

モデルの品番 2175
モデルの品名 国鉄 ED75-700形電気機関車(前期型)
発売時期 2009年
入手時期 2010年2月 新品購入
分解調査等 マイコレクション ED75 710
動力車の調査 未調査

 

 

 

モータの体格 φ12.0×10×15.5 全長 34.5 フライホイール φ13.0×5.5
トルク定数 Kt
332.6 gf-mm/A モータ軸摩擦トルク Rm
18.02 gf-mm モータ軸損失速度係数  λm 0.000520 gf-mm/rpm
巻線抵抗  Ra 10.3 Ω 逆起電力定数 Ke
0.000331 volt/rpm ブラシ部電圧降下  Eb
-0.074 volt  (下記 )

 電流・電圧特性に於いて、6〜8ボルト、20,000 rpm 付近で特異な現象を生じている。 さらにカラカラという音がやかましい。 これは損失トルクのデータにも表れているので共振現象による機械的な原因と思われる。 また、表の中のブラシ部電圧降下量がマイナスになっているが、マイナスデータはあり得ないのでデータ近似での誤差によるものと判断する。

 上記のEF510-4 号機のモータよりも損失トルクが大きいために、消費電流も大きくなっているのは、個体差かあるいは慣らし具合の違いかも知れない。

 

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■ EF210-109 号機

モデルの品番 9142
モデルの品名 JR EF210 100形電気機関車
  (シングルアームパンダグラフ搭載車)
発売時期 2013年
入手時期 2014年1月 新品購入
分解調査等 マイコレクション EF210-109
動力車の調査 未調査

 

 

モータの体格 φ12.0×10×15.5 全長 32.6 フライホイール φ9.4×5.5
トルク定数 Kt
227.6 gf-mm/A モータ軸摩擦トルク Rm
11.73 gf-mm モータ軸損失速度係数  λm 0.0007152 gf-mm/rpm
巻線抵抗  Ra 10.4 Ω 逆起電力定数 Ke
0.000302 volt/rpm ブラシ部電圧降下  Eb
-0.121 volt  (前記 )

 8ボルトを過ぎるあたりから突然特性が乱れてしまう。 これもED75-710 号機と同様に、損失トルクのデータにもハッキリと表れているので共振現象による機械的な原因と思われる。 一方では、電気的な損失を示す右のグラフには逆起電力の特性を綺麗に示しているのが対照的である。

 

■ まとめ

 TOMIX 製電気機関車に搭載されていたフライホイール付きのモータについて、測定個数は3個だけであったが、いずれも同じ体格のカンモータであった。 トルク特性に関しては安定した性能を発揮しているものの、高速回転では共振と思われる現象が発生しているようである。 しかし、電気機関車の場合にはそんなに高速で走らせることはないので、鐡道模型としては問題の無いレベルと考えられる。

 いよいよ、コアレスモータに挑戦したいが、測定方法の壁にぶつかっている・・・・・・・・! フライホイールが無い場合にはどうするか・・・・・・・?