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■ 測定方法
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下記にそれぞれのモデルの測定結果を記載する。 順番は、品番や発売時期から推定した年代を想定し、なるべく古いものからリストアップしている。
モータの写真は製造時にモータ外套やマグネット部分に付与されたマーキングを記録するため上下の面を撮影し、さらにモータホルダーに装着した状態で撮影している場合もある。 また、今回から「モータ特性のモデル化 改良版」で報告した解析方法での結果も同時に記載するようにした。 そして、機械系と電気系の損失(?)を示すと思われるグラフもここに記載しておく。
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■ EF510-4 号機
モデルの品番 | 2169 |
モデルの品名 | JR EF510形電気機関車 |
発売時期 | 2005年 |
入手時期 | 2015年4月 中古品購入 |
分解調査等 | マイコレクション EF510-4 |
動力車の調査 | 未調査 |
モータの体格 | φ12.0×10×15.5 | 全長 | 38.0 | フライホイール | φ8.0×5.0 |
トルク定数 Kt |
283.9 gf-mm/A | モータ軸摩擦トルク Rm |
15.18 gf-mm | モータ軸損失速度係数 λm | 0.0000815 gf-mm/rpm |
巻線抵抗 Ra | 12.4 Ω | 逆起電力定数 Ke |
0.000352 volt/rpm | ブラシ部電圧降下 Eb |
0.271 volt |
電流・電圧特性におけるデータのバラツキは、車両での測定結果でも同様な傾向が見られる。 そして測定中でも電圧の中間部でカリカリという共振音(?)がしていた。そして、モータ軸損失トルクのグラフを見ると機械的な原因の様にも思える。 一方では、ある程度運転後に安定するので、モータの発熱に関係するのではないかと推定するも定かではない。 なお、負荷状態でのトルク特性は安定した性能を示している。 低速での粘りも良好の様である。
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■ ED75-710 号機
モデルの品番 | 2175 |
モデルの品名 | 国鉄 ED75-700形電気機関車(前期型) |
発売時期 | 2009年 |
入手時期 | 2010年2月 新品購入 |
分解調査等 | マイコレクション ED75 710 |
動力車の調査 | 未調査 |
モータの体格 | φ12.0×10×15.5 | 全長 | 34.5 | フライホイール | φ13.0×5.5 |
トルク定数 Kt |
332.6 gf-mm/A | モータ軸摩擦トルク Rm |
18.02 gf-mm | モータ軸損失速度係数 λm | 0.000520 gf-mm/rpm |
巻線抵抗 Ra | 10.3 Ω | 逆起電力定数 Ke |
0.000331 volt/rpm | ブラシ部電圧降下 Eb |
-0.074 volt (下記 ) |
電流・電圧特性に於いて、6〜8ボルト、20,000 rpm 付近で特異な現象を生じている。 さらにカラカラという音がやかましい。 これは損失トルクのデータにも表れているので共振現象による機械的な原因と思われる。 また、表の中のブラシ部電圧降下量がマイナスになっているが、マイナスデータはあり得ないのでデータ近似での誤差によるものと判断する。
上記のEF510-4 号機のモータよりも損失トルクが大きいために、消費電流も大きくなっているのは、個体差かあるいは慣らし具合の違いかも知れない。
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■ EF210-109 号機
モデルの品番 | 9142 |
モデルの品名 | JR EF210 100形電気機関車 (シングルアームパンダグラフ搭載車) |
発売時期 | 2013年 |
入手時期 | 2014年1月 新品購入 |
分解調査等 | マイコレクション EF210-109 |
動力車の調査 | 未調査 |
モータの体格 | φ12.0×10×15.5 | 全長 | 32.6 | フライホイール | φ9.4×5.5 |
トルク定数 Kt |
227.6 gf-mm/A | モータ軸摩擦トルク Rm |
11.73 gf-mm | モータ軸損失速度係数 λm | 0.0007152 gf-mm/rpm |
巻線抵抗 Ra | 10.4 Ω | 逆起電力定数 Ke |
0.000302 volt/rpm | ブラシ部電圧降下 Eb |
-0.121 volt (前記 ) |
8ボルトを過ぎるあたりから突然特性が乱れてしまう。 これもED75-710 号機と同様に、損失トルクのデータにもハッキリと表れているので共振現象による機械的な原因と思われる。 一方では、電気的な損失を示す右のグラフには逆起電力の特性を綺麗に示しているのが対照的である。
■ まとめ
TOMIX 製電気機関車に搭載されていたフライホイール付きのモータについて、測定個数は3個だけであったが、いずれも同じ体格のカンモータであった。 トルク特性に関しては安定した性能を発揮しているものの、高速回転では共振と思われる現象が発生しているようである。 しかし、電気機関車の場合にはそんなに高速で走らせることはないので、鐡道模型としては問題の無いレベルと考えられる。
いよいよ、コアレスモータに挑戦したいが、測定方法の壁にぶつかっている・・・・・・・・! フライホイールが無い場合にはどうするか・・・・・・・?