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S系電気機関車の改造工作 

 

 S系(ショーティー化改造)電気機関車の改造工作を紹介します。

■ ショーティー化改造のいきさつ  

 チョットしたきっかけで始めた改造工作でしたが、ミニレイアウトと、コキウイルス・ミニと、バンダイのBトレインショーティー専用走行台車の発売などが関係して、だんだん深みにはまってしまいました。 改造工作のねらいは、

BトレのELより少しぐらいは大きくてもよいから、コンパクトながら力持ちの機関車が欲しい。

 当初はこの改造工作を 「12m級の」 と呼んでいましたが、工作方法によっては実車換算で 13m級や 14m級の寸法となり、さすがにおこがましくなりました。 このため、この工作を 「ショーティー化改造工作」 と呼ぶことにし、工作された車両を 「S系車両」 と呼ぶことにしましたので宜しく。

 

・・・・・・・・・  勢揃いしたS系電気機関車  ・・・・・・・・・・

 

■ ショーティー化改造による電気機関車の改造履歴

 工作内容を順を追って説明していきます。

◆ 最初の改造とコキウイルス・ミニ

 ネット上で古いEH10のジャンク品を見つけました。 ミニレイアウトのコンテナ車牽引用に入手し、走行させましたが、前車から後車に回転を伝達するジョイントと、後車のギヤ類が取り去られた状態でした。 即ち後車は単に重いだけのトレーラ車だったのです。 そこで、ミニレイアウトとのことで、前車だけの機関車にしてしまえとばかりに、ボディーをニコイチにして車両を仕立てあげました。 これがショーティー化を始めるきっかけとなった最初の1台です。 そして、Bトレのコキ100系の発売、ホビーセンターカトーの台車TR211の宣伝などが重なって、ついには、「コキウイルス・ミニ」が発症してしまいました。

  ⇒ コキウイルス・ミニ ついに発症

 BトレのELより少しぐらいは大きくてもよいから、コンパクトながら力持ちの機関車が欲しい。

というのが工作を続けた狙いです。

◆ 2台目の加工

 1台目で気を良くしたので、EH10中古品も見つけ、前車のシャシーを利用してEF65を作りました。 ボディーはBトレのベストリピートパート9の車体をニコイチにして作り、カプラーは台車と共にEH10のものを前後に使用しました。

◆ 3台目の加工

 しかし、今回は駆動用のギヤがついた後車のシャシーが残り、ジャンク品にするのはもったいないと、これを活用することを思案しました。 そして、モータさえあればということで、Bトレのチビ凸用動力ユニット(集電不良のジャンク品)のモータを使用しることにしました。

  ⇒ 12m級のELをつくる

こうして3台目を作りましたが、性能はまあまあです。 また、トラクションタイヤが無いため牽引力も期待できないが我慢することにする。

◆ 4・5台目の加工

 さらにジョイント欠品のEH10ジャンク品も見つけ、ジョイントは不要でもあるので迷わず入手する。 そして、EF63とEF65のボディも入手し、今度はシューティー化工作でボディを作る。 2台目、3台目とシャシーとボディをいろいろ交換し、最終的には上図のような履歴となった。

◆ 6・7台目の加工

 いままで、動力部はカトーの古い製品(品番が305のもの)を使いましたので、作動がややギクシャクし、音も大きい。 だんだん慾が出て、フライホイール付きのスムーズな動きの動力が欲しくなり、新しい構造の3005-1の物を入手し分解してみました。 しかし、かなり構造が異なっており、チビ凸用のモータも使用出来ません。 K社さんがモータ単品を市販してくださると改造もできるのですが、無理の様ですね。 後車をそっくりジャンク品にするのは勿体ないので、改造をやめました。
  次に、モータ単品を市販しているTOMIX社さんのEH500(品番:2143)を入手し、これも分解してみました。 改造は簡単に行けそうですが、そんなに機関車ばかりは要らないので改造を中断していました。 でも、やっぱり手を出してしまいました。 専用のモータ、M-5(TYPE5・ウォームギア付、品番:0615)を発注し、EH500とEF210を作ってしまったのです。

◆ 鉄コレ動力を利用するもの

 これは、改造とは言えないが、1年程前に、鉄コレの12m級動力ユニットを使用して車両をしたてたものである。

  ⇒ 12m級のEF58の製作

 

■ 各車両の諸元と性能

 鉄道模型工学を探求する小生としては、その性能を確認することにした。 各車両の詳細については、マイコレクションのページにリンクさせていますので、そちらを参照下さい。 ここでは、下のリストのように、構造の違いによって4っつのタイプに分類してみました。

タイプ
車番
連結面間距離
車両重量
牽引力
備考
KATOのEH10を種車とし、前車の動力を活用するもの
84.5 mm
76 gr
26 gr
サイズ、牽引力とも満足するも、走りはやや不満。
88.5 mm
80 gr
21 gr
87.5 mm
77 gr
26 gr
KATOのEH10を種車とし、後車のシャシーとBトレのモータを活用するもの
87.5 mm
80 gr
13 gr
牽引力はやはり小さい。
89.5 mm
76 gr
11 gr
TOMIXのEH500を種車とし、その動力を活用するもの
92.0 mm
62.8 gr
24 gr
長さが長くなったのがやや不満
95.0 mm
64.1 gr
21 gr
鉄コレの12m級動力を使用するもの
82.5 mm
54.7 gr
10 gr
牽引力に不満
参考
マイクロエースの12m級電気機関車
83.5 mm
71 gr
23 gr
市販品
ED系電気機関車 KATO ED79形
101.0 mm
78 gr
22 gr
EF系電気機関車 KATO EF65形
119.5 mm
90.5 gr
25 gr
EF系電気機関車 KATO EF510形
137.5 mm
95.5 gr
24 gr

 タイプ1は、市販のED系釜と同等の牽引力を持ち、12m級に近いサイズを保つ事が出来ている。 タイプ2では、モータの力不足とゴム輪が無い事より、牽引力はタイプ1の半分しか無い。 スムーズな走行を狙ったタイプ3では、長さが長くなってしまった。 それぞれ不満があるものの、苦労した分、愛着があるので愛用していこうと思う。

 下の写真に手持ちの電気機関車を並べてみた。 ご覧のとおり、我がS系の車両は、Bトレ系よりサイズは大きいものの、EF系よりはずっと短い事がわかる。 

・・・・・・・・・ 電気機関車のサイズの比較  ( Bトレ系、S系、ED系、EF系 ) ・・・・・・・・・

 

 次に、牽引力について考察してみよう。 4%の標準勾配を登坂する場合、何両の客車を牽引出来るか計算してみる。 登坂する場合は、

       機関車の牽引力 > 機関車の勾配抵抗+ (客車の勾配抵抗+客車の走行抵抗)×個数

でなければならない。 勾配抵抗は、鉄道模型工学概論の式(4)で示している様に、車両重量・sinθで求められる。 機関車の牽引力をFk 、機関車重量をWo 、客車の重量をWc 、客車の走行抵抗をRc 、勾配をθ、客車の個数を n とすると、 上記の式は、

      Fk > Wo・sinθ + n (Wc・sinθ + Rc )

 ここで、牽引する客車をバンダイのBトレ専用の走行台車Tを組み込んだBトレ客車とすると、 「バンダイの走行台車を使って室内灯を細工する」で示したように、

      Wc = 15 gr 、Rc = 0.7 gr

とし、4%の勾配( sinθ=0.040 )を、EF65 528 で牽引するとすると、 Fk = 26 gr 、Wo = 77 gr であるから、

      n < (Fk - Wo・sinθ)/(Wc・sinθ+Rc) = 17.6

となり、誤差等を考えると15両程度は牽引することが出来そうである。 ちなみに、上記のEF58 45 では、6両が限界となる。 

 

■ レイアウトでの走行

 このS系釜を我がレイアウトで走行させてみました。 EF65 528 とスハ43系客車15両で普通列車を、 EH500 3 とコキ21両でコンテナ列車を編成し、RTM東海の1畳レイアウトを走らせました。 EF65 528 が引く普通列車は、最大の難所であるS字登り坂で、止まりそうになりながらも、やっとのことで登り切っています。 まあ、誤差が大きいのでなんとも言えませんが、大まかな計算の通りかなと思います。 コンテナ車は走行抵抗がぐっと小さいので21両でも楽々の様です。 動画も用意しましたので、その走行ぶりをご確認下さい。 動画編集中に気がついたが、 パンタグラフが下がったままである・・・・・・・・・・!  これは良くやる初歩的なミスです。

 当初の 「BトレのELより少しぐらいは大きくてもよいから、コンパクトながら力持ちの機関車が欲しい」 と言う目的は、なんとか達成出来たと思っている。

 

 次に、EF65 105 で20系の寝台車を9両を牽引させてブルートレイン仕立てとし、ミニレイアウトを走行させてみました。 20系の寝台車には室内灯をまだ装着していません。 KATOの足を履いたままですので、タイプ2の釜でも楽々走行出来ています。 こちらもパンタが・・・・・・・・・・! 。

 

 

 今後、この寝台車に室内灯と尾灯を組み込んで、ブルートレインの雰囲気を楽しみたいと思っています。 でも、寝台車は、20系にしようか、25系にしようか、10系にしようか、あるいは全部作ろうかなど、暇と資金と、そして意欲と相談している最中です。