HOME >> 鉄道模型実験室 > 機関車の動力特性一覧

鉄道模型実験室   機関車の動力特性一覧

 

● 機関車の動力特性一覧

 今まで測定してきた動力特性を整理し、一覧表にしてみました。

 これらの特性は、数値では無く、グラフで示すのが一番正確で、かつ理解しやすいと思っています。 しかし、マイコレクションの「客車類リスト」や「貨車類リスト」に記載した編成列車を、この機関車で牽引可能かどうかを判断する事も可能ですが、見やすくすにはグラフ化などの工夫が必要です。 そこで、これらの測定結果を数値化し、グラフ化しておくことにしました。

 なお、 牽引力については、粘着領域での牽引力を表わすのが一般的であり、かつ牽引可能かどうかの判断もこの値を使用するのですが、測定方法にやや問題があり正確には測定出来ておりません。 そこで牽引特性のグラフから推測することにしております。 また、「トレーラ車の特性を測定する」で記載した機関車の牽引力余力も40パーミルの標準勾配にて計算しております。

 

 ● 蒸気機関車編

 所有する蒸気機関車の動力特性を一覧表にまとめました。

分類 形式 車両番号 補足 メーカー 品番 重量 粘着
牽引力
40‰での
牽引力余力
速度系数 最低電圧 Eo
グラム
グラム
グラム
Km/h/Volt
Volt
小型蒸気機関車 B6 2157   KAWAI KP-150
41
 未測定  未測定
12
0.6
2120   KAWAI KP-152
42
 未測定  未測定
14
1.4
2286   KAWAI KP-151
42
 未測定  未測定
12
1.1
C11 C11 155   KATO 2002
53
 未測定  未測定
32
1.0
C11 227   KATO 2002
54
12
10
31
1.4
C12 C12 164   MICRO A4294
66
17
14
27
1.2
C56 C56 160   MICRO A6308
62
12
10
30
1.3
C56 125   MICRO A6302
63
12
9
27
1.1
中型蒸気機関車 96 29611   KATO 2014
64
18
15
20
1.0
69654 デフ付 KATO 2015
65
18
15
19
1.3
39679   MICRO A0327
71
20
17
31
1.3
29608   TOMIX 2050
58
 未測定  未測定  未測定  未測定
86 18688 デフなし・箱形テンダー MICRO A6102
69
17
14
30
1.6
C50 C50 78   KATO 2001
73
20
17
32
1.2
C50 142 標準デフ付 KATO 2001-1
81
20
17
28
1.5
C50 110 デフ付き MICRO A7401
69
16
13
30
1.9
C58 C58 98   MICRO A7202
82
25
22
23
1.3
C58 127   KATO 2010
82
20
17
33
1.8
大型蒸気機関車 C51 C51 247   MICRO A6608
83
20
17
22
1.6
C55 C55 62   KATO 2011
90
24
20
34
1.0
C57 C57 180   KATO 2013
91
15
11
30
1.3
C57 135   TOMIX 2003
77
18
15
17
0.5
D51 D51 125 標準形 KATO 2006-1
101
21
17
27
1.7
D51 36 なめくじ KATO 2009
101
20
16
26
1.6
D51 498   KATO 2016-1
74
18
15
16
0.2
D51 498 動力改良 MICRO A9536
91
 未測定  未測定  未測定  未測定
C62 C62 36 東海道形 KATO 2019-2
94
23
19
20
1.9
C62 2 北海道形 KATO 2017-2
88
19
15
26
1.6
C62 2 函館本線・小樽築港機関区 MICRO A9810
97
15
11
26
1.6

 

  .

 表の数値では見難いのでグラフ化してみました。 粘着牽引力と牽引力余力を棒グラフにしたのが、右のグラフです。 蒸気機関車での牽引力は、15〜20グラム程度と考えておけば良さそうです。 中には10グラム程度の力の弱い釜もありますが・・・・・・・・。

 また、速度特性の特性値もグラフ化してみました。 下のグラフです。 このグラフの見方については、「速度特性について」を参照下さい。

 速度係数(Km/h/Volt ) は、電圧の上げ具合と車速の上昇具合を示し、模型運転時に直感的に感ずる係数でもあります。 そして、主にモータ特性とギヤ比、および車輪直径から決まる係数のため、その模型の特徴として表現しやすいと思われます。 この値が小さいとコントローラのダイヤルを回してもいつまでものろのろと走っている車両となり、逆に大きいとすぐスピードが上がるかっ飛び型の車両を表わしています。

 また、最低電圧とは、動き始める電圧を示しており、電圧が低いほどスムースに走り出す嬉しい車両です。 この値は、モータ特性と共に、メカ部分の摩擦が大きく影響するため、調整具合によってはかなりのバラツキが発生するものと考えています。 即ち、速度係数は設計要因で決まり、最低電圧は調整要因で決まると考える事が出来るでしょう。 上のグラフの赤丸で囲んだ河合のB6シリーズの3台は、その事を物語っています。 同じ仕様の3台について、速度係数は殆んど同じであるのに、最低電圧は大きく異なっています。 

 KATOのD51と、TOMIXのC57は、最低電圧が非常に小さい事も注目されますが、その理由はご存じの通りです。 この2台とB6を除けば、殆どの釜が似たような特性になっています。 即ち、速度係数が20〜30Km/h/Volt程度、最低電圧が1.0〜2.0Volt程度であり、この領域が適正領域と考えられます。

 この領域の集まっているのは、Nゲージとしては操作しやすい領域なのでしょうか。 メーカーやユーザーなどの長年の経験によって落ち着いてきた適正値と考えられますが、技術の進歩によってさらに進化した理想領域が、D51やC57のように味付けされた領域なのだろう。 動力車としてのチューニングは、メーカーの設計意図と共に、開発努力や試行錯誤によって実施されていると思われます。

 

 ● 電気機関車・ディーゼル機関車編

 蒸気機関車の場合と同様に、電気機関車とディーゼル機関車もまとめて見ました。

分類 形式 車両番号 補足 メーカー 品番 重量 粘着
牽引力
40‰での
牽引力余力
速度系数 最低電圧 Eo
グラム グラム グラム Km/h/Volt Volt
直流電気機関車 ED16 ED16 3   KATO 3068 70 未測定 未測定 未測定 未測定
ED17 ED17 2 4段痛風器 MICRO ACE A2902 71 22 19 27 1.0
ED18 ED18 1   MICRO ACE A3801 71 25 22 29 1.2
ED61 ED61 1   ワールド工芸   76 21 18 22 1.2
ED62 ED62 15   ワールド工芸   80 21 18 28 2.6
EF15 EF15 79 標準形 KATO 3062-1 71 18 15 24 1.4
EF15 189   TOMIX 2116 95 未測定 未測定 31 0.9
EF58 EF58 60 お召予備機 KATO 3050 126 30 25 33 1.2
EF64 EF64 1032 1000番台 一般色 KATO 3023-1 101 20 16 35 1.6
EF65 EF65 505   KATO 302 135 20 15 34 1.1
EF65 70 一般色 KATO 3002-2 133 28 23 40 1.7
EF65 511 JR貨物色 KATO 3017-3 99 17 13 38 1.7
EF65 1097   KATO 3019-1 109 26 22 31 1.4
EF65 1124 1000番台  KATO 3035-1 91 23 19 35 1.6
EF65 1103 1000 後期形 KATO 3061-1 90 21 17 25 1.2
EF66 EF66 51   KATO 3047 90 19 15 28 1.7
EH10 EH10 61   KATO 3005-1 103 25 21 29 2.0
EH10 9   MICRO ACE A0826 104 35 31 26 0.9
EH500 EH500 2 1次形 TOMIX 2142 126 28 23 30 1.6
交流電気機関車 ED75 ED75 96 耐寒形 KATO 309-2 未測定 未測定 未測定 未測定 未測定
ED75 710 700形 前期型 TOMIX 2175 75 24 21 29 0.9
ED75 1001 一般形 KATO 3028 80 22 19 35 1.2
ED79 ED79 11   KATO 3031 78 22 19 32 0.7
ED79 10   TOMIX 2123 79 31 28 35 1.5
EF70 EF70 27   KATO 301 130 未測定 未測定 未測定 未測定
交直流電気機関車 EF81 EF81 119   KATO 3010-1 117 26 21 38 1.5
EF81 81   KATO 3021-1 101 24 20 35 2.3
EF510 EF510 1 量産先行車の1号機 KATO 3051-1 96 22 18 27 0.8
EF510 510 500番台 カシオペア色 KATO 3065-2 103 33 29 25 1.2
S系電気機関車
(ショーティー化改造)
EF58 EF58 45   改造   55 9 7 34 0.6
EF58 116   改造   76 9 6 34 1.7
EF63 EF63 3   改造   80 20 17 32 1.1
EF65 EF65 105   改造   80 13 10 25 2.7
EF65 528   改造   77 27 24 44 1.6
EF210 EF210 10   改造   63 20 17 30 1.4
EF510 EF510 509 500番台 カシオペア色 改造   63 21 18 25 0.8
EH10 EH10 17   改造   76 26 23 22 0.6
EH500 EH500 3   改造   64 23 20 28 1.8
ディーゼル機関車 DE10 DE10 1574 暖地形 KATO 7011 60 16 14 20 1.6
DE10 1728   TOMIX 2208 53 15 13 29 1.9
DF50 DF50 44 四国形 KATO 7009-1 79 15 12 25 1.1

 

  .

 粘着牽引力と牽引力余力を棒グラフにしたのが、右のグラフです。 電気機関車に於いては蒸気機関車と比較して、構造上から重量をアップ出来る事や動輪を効果的に配置できることなどから、牽引力は5〜10グラム程度大きくなっています。 この牽引力は、意外と昔の車両の方が力強かったりしますが、やはり適正値があると思われます。 ユーザーニーズなど商品の魅力として何が求められているのかを検討されてきた結果と思われます。

 また、速度特性の特性値をグラフ化したのが下のグラフです。 

 電気機関車の場合、蒸気機関車と比較して車両内部の空間が大きく、動力機構をより自由に設計出来るはずです。 こう考えると速度係数は、25〜35Km/h/Voltあたりが適正値ではないかと考えられます。 上記のグラフはタイプや製造年代がごちゃ混ぜになっていますので、年代別などで整理してみると面白そうですが、重箱の隅を突く様ですのでパスすることにしましょう。

 

● まとめ

 模型車両の動力特性を調べ出したのは、動力車の重連問題から端を発したものですが、あちこちの脇道に潜り込んでしまっているようです。 でも、鉄道模型を扱いだした経験が、まだまだ浅い小生としては、いろいろな事が理解できるようになり、自分なりの趣味の範囲が深まった様な気がします。 自己満足!

 測定した牽引力余力と編成の負荷をマッチさせ、実際のレイアウトで検証してみるのが、鉄道模型工学を追求する者としての務めと思っていますが、まだ、手付かずの状態です。